カンフー映画としてのお薦め度 ★★★★★★★☆☆☆
(少林寺三十六房)出演者たち4人が再び集結したラウ・ブラザーズ兄弟による冒険カンフーアクション!!後半の魔宮の仕掛けがワクワクです!!
作品紹介
1986年3月15日公開
今回ご紹介するのは、(少林寺三十六房)のリュー・チャーフィー主演のカンフーアドベンチャー作品です。
それでは、ますはあらすじから、
ある田舎町に家宝の壺を強奪された若者(リュー・チャーフィー)がやって来る。
旅の途中で出会った若者二人と宝の強奪犯の捜索を開始したが、犯人は変装の名人で、
いつも寸前のところで、取り逃がしてしまう。
そんな時、街で出会った易者に探し物の方角を教えられるが、行ってみるとまるで方向違いの場所である事が分かる。
その易者が怪しいと考えた三人は改めて街の易者を訪ねるが、そこにいた易者は昨日訪ねたときとは別人であり、昨日は休業していたというのだった、、。
(少林寺三十六房)シリーズのリュー・チャーフィー主演のカンフーアドベンチャー作品です。
基本的にはいつものように少林寺和尚が活躍するカンフー作品ですが、今回はまずは鬘着用で普通の旅の途中の若者として登場します。
で、その旅には、目的があり、ある男を追いかけている、という事でその相手が変装の名人ロー・リエとなっています。
そのロー・リエを求めて訪れた街で、ラウ・カーウィンとリー・ホイサンのズッコケコンビと出会う事になり、三人で協力してロー・リエを捜索する、という展開となっていきます。
で、この後半ついにロー・リエの自宅を突き止めて、留守の間に家宅侵入し、押し入れの扉を開けると、洞窟のようになっていて、
その先を進んでいくと地下迷宮のような部屋が広がっていた、という、まるで少年漫画のような突飛なアドベンチャー要素を含んだストーリーとなっています。
この魔宮の通路には鉄のような棒状の突起が沢山飛び出していて、その棒をグッと押すと、
どこか他の棒と連動していてそれが飛び出してきたりして、その様相が常に変わっていきます。
奥の部屋まで進むには、この部屋の障害を乗り越えて行かないとたどり着けない、といったところで、三人は修行を繰り返し、
鍛錬を重ねて、関門をクリアする秘技を編み出して、奥の部屋にまで行き、ラスボス、ロー・リエと最終決戦を繰り広げる、という展開になっていきます。
それにしても、ロー・リエは自宅の奥にこんな仕掛け作って、毎日これクリアしながら出入りしてるんでしょうか。
修行ですね、、。
というように物語展開が少年漫画のように分かり易く熱い本作ですが、アクションシーンも熱いシーンの連続となっています。
リュー・チャーフィー、ラウ・カーウィン、リー・ホイサン、ロー・リエのメンバーで真っ先に思い出すのは、少林寺映画の金字塔(少林寺三十六房)です。
本作はメジャーのショウブラザーズ製作作品ではありませんが、ラウブラザーズが自社で気心の知れた仲間がそれまでの熟練の技を出し切ってガッツリ製作した傑作カンフーアクション作品となっています。
そのカンフーアクションは、まずは、冒頭で、リュー・チャーフィーがズッコケコンビ二人と出会うシーンでご挨拶程度のアクションがあります。
この三人が共演している作品は多いですが、ラウ・カーウィンとリー・ホイサンがカンフーのできない人物を演じているアクションは極めて少ないのではないでしょうか。
リュー・チャーフィーはいつも通りの役ですが、ズッコケ二人のカンフーのできない役の説得力はやはり凄く、
アクションができない、とう役柄を確実にこなしつつ、実はしっかりとアクションをこなしている、という一つ上のランクのアクションが鑑賞できる、という意味でも本作は貴重な作品となっています。
次に、犯人捜索中に、ロー・リエと思って戦いを挑んだ強盗犯とのカンフーバトルが始まります。ここは出だしは後に(プロジェクトA)や(ポリスストーリー)シリーズなどのジャッキー作品で有名になるマースが、
お得意の愛嬌のある顔の表情でひょうきんに演じているので、その後のバトルも期待しましたが、バトルシーンに変わるなり、
実はその顔は変装してマスクを被っていた顔でした、という展開で他のキャストに変わってしまったので、マースのカンフーアクションは残念ながら見る事はできませんでした。
しかし、ここでのリュー・チャーフィーのカンフーバトルは素晴らしく、本作では初めて本格的に敵と戦うアクションシーンですので、
強さのはっきりとわかるアクションで、いつものようにキレはバツグンの名アクションの連続となっています。
その次には中盤で、夜の屋敷に潜入し、外に警備の兵が大勢いる中で、屋敷内にあるお宝を、正体不明の敵と音をたてないようにしながら戦うサイレントバトルシーンが、また名シーンとなっています。
常に音をたてないように猫足立ちで、脚力をフルに使いながらのスピード感のある、軽やかなアクションは、暗闇での戦いが必然でありながらも、
展開関係なく、明るいところでじっくり見たい、名勝負となっています。
で、魔宮での関門に挑戦するアクションと、それをクリアするための修行シーンへと続きます。
この修行シーンでの注目は、日本版のみ挿入されるリュー・チャーフィーが歌う主題歌(熱風伝説)です。
公開当時、リー・リンチェイ(後のジェット・リー)が’(少林寺)(少林寺2)(阿羅漢)と人気急上昇中で、次の少林寺スターはリュー・チャーフィーだ!というセールスの真っ最中でしたので、
日本で日本語で収録された主題歌が、日本版のみ、この修行シーンで挿入されます。
この主題歌は結構カッコ良く、燃える名曲となっていて、
実は個人的に人生で初めて自分のお小遣いで購入したレコードが、この(熱風伝説)でしたので、ちょっと思い入れがあったりします。
日本でリリースされたVHSにもこの主題歌はサビの部分だけですが、しっかり収録されていますので、ご興味ありましたら聞いてみてください。
で、修行を積んで、いよいよ魔宮の難関に挑んでいきます。
この関門が意外に長かったりしますが、棒の関門をクリアした先には、広めの廊下になっていて、静かに歩かないと風圧の影響で周囲にある蠟燭の炎が揺れ、
そばにある拳銃に火が付き、廊下を歩いている者に向かって銃弾が発射される、という仕掛けがあり、
ラウ・カーウィンが、その銃弾を前後から合計3発受け、倒れます。
お調子者キャラは、その先の死亡フラグのためだったか、、
と思いきや、そこは香港映画、痛そうではあるけれども、死にません。
この辺の、分かり易さもシンプルなカンフー作品としては良いですね。
キャラクターが銃弾に倒れて感動させるような展開ではなく、あくまで、お調子者が、ちょっとお灸を据えられた、といった感じになっています。
銃弾3発受けてますけど、ちょっと足をくじいた、程度の痛がり方です、、。
という事で、いよいよラスボス、ロー・リエとのバトルに突入します。
この二人は今までも名勝負を演じてきましたが、ショウブラザーズ製作の(少林寺三十六房)や、
ハリウッド製作の(キル・ビル)でリュー・チャーフィーが演じたバイ・メイ役の元ネタ白眉役をロー・リエが演じた(少林虎鶴拳)でもリュー・チャーフィーとバトルを演じていました。
その気心の知れた二人の演じる少林寺僧VSラマ僧の戦いは、武器での戦いから始まって、(少林寺三十六房)の修行房のように無数のサンドバッグの房の中への展開へと移り、
間合いの取れない中で素手での拳を交わすバトルへと展開していき、
死力を尽くして戦ったうえで、リュー・チャーフィーが勝利します。
当然ながら、このラストバトルが本作一番の見どころとなっていて、武術指導も兼任しているラウ・ブラザーズの腕が遺憾なく発揮される名勝負となっています。
できれば、ラウ・カーウィンとリー・ホイサンのカンフー技も観たかったところですが、物語上しょうがないですね。
という事で通常の少林寺アクションにちょっとした冒険要素もプラスされた非常に娯楽要素の強いカンフーアドベンチャー作品となっていますので、香港映画好き、カンフー映画好きの方などご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
(熱風伝説)の決して上手いとは言えない日本語の発音ながらも、なんとなく熱さで乗り切ってしまう名曲は必聴ですよ。
作品情報
1978年製作 香港製作 カンフーアクション
監督 ラウ・カーウィン
出演 リュー・チャーフィー、ラウ・カーウィン、リー・ホイサン、ロー・リエ、マース、
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