暗闇に何か潜んでいるかもしれない!という恐怖感で魅せるオリジナル版と、常に恐怖の対象であるモンスターがそこにいる!という危機感で魅せるリメイク作!!
13ゴースト(13GHOSTS)82分
お薦め度 ★★★☆☆☆☆☆☆☆
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介するのは、2001年に製作されたリメイク版が大ヒットしたことで、再び注目を浴びたギミックホラーの帝王、ウィリアム・キャッスル監督のびっくりお化け屋敷作品です。
それでは、まずはあらすじから、
叔父の豪邸を相続したサイラスとその家族は、喜び勇んで引っ越してきたが、その屋敷には叔父が生前研究していた12人のゴーストが囚われていた。
ゴーストたちは屋敷の呪縛から逃れるために、13番目の生贄を探していたのだった。
そこへ、屋敷に隠された財産を盗み出すために一人の男がやってくる!?
ギミックホラーの帝王、ウィリアム・キャッスルのお得意のお化け屋敷びっくり系ホラー作品です。
ウィリアム・キャッスルは色々な仕掛けを伴った上映で有名になった製作者で、上映中に光に照らされたガイコツを映画館内に突然ぶら下げてみたり、実際に風を起こしてみたり、
と現代の4DX上映の元祖のような体感型の上映スタイルを前面に打ち出した映画を製作上映していた唯一無二の映画製作者です。
驚くのは、劇中の登場人物が特殊なメガネをかけるとゴーストが見える、という場面があり、当時このメガネも上映前に配られていたようで、
実際に上映されたバージョンには上映中に字幕で(USE VIEWER)と指示が入り、ゴーストが浮かび上がって見える
という楽しい仕掛けも実施していたようで、完全に現代の4DXの元祖と言っても過言でないのではないでしょうか。
そういった製作スタイルですので、得意分野はびっくりシーン満載なB級ホラー作品が多く、そのために作品的にはそれほど評価されていないようですが、
本作(13ゴースト)は2001年にジョエルシルバー、ロバート・ゼメキス率いるダークキャッスルエンターテイメントによってリメイクされていますし、
(地獄へ続く部屋)は同じく、ダークキャッスルによって1999年に(TATARIたたり)としてリメイクされました。
一番有名な作品では、(ローズマリーの赤ちゃん)なんかもウィリアム・キャッスルが製作しています。
そんなウィリアム・キャッスルのオリジナル作品ですが、本作でも、そのびっくりさせようとする気まんまんの演出が、
お化けが確実に12人いる、というびっくりシーンを期待させるような分かり易い設定とぴったりとハマっていて、非常にワクワクする仕掛けに満ちた作品となっています。
今DVDで観返すと、勿論仕掛けを体感する事はできませんが、箱を空けたらフワッと風が吹いたり、暗闇から突然奇妙なおじさんが顔を出したり、
子供が少しづつ下がってくる天井に押しつぶされそうになったり、と当時の上映スタイルを想像するだけで楽しくなってきそうなシーンを、シンプルな物語展開に巧みに取り入れています。
12人のゴーストたちが、自分たちが屋敷の呪縛から逃れるために選び出す、13番目の生贄も、非常に納得のいく人選で、しっかりまとまった物語となっています。
厭な人物と思っていた屋敷住込みの、家政婦のおばちゃんが後半大活躍し、実は結構面倒見の良い人物で、もしかしたら、実は魔女なのか?
といったユニークなキャラクターも、しっかりと物語展開に活きている今鑑賞しても全く色あせない楽しいホラー作品となっています。
作品情報
1960年製作 アメリカ製作 ホラー
監督・製作・脚本 ウィリアム・キャッスル
出演 チャールズ・ハーバート、ジョー・モロー、マーティン・ミルナー、ローズマリー・デ・キャンプ
13ゴースト(13GHOSTS)91分
お薦め度 ★★★★☆☆☆☆☆☆
作品紹介
2002年8月31日公開
という事で、ジョエル・シルバーとロバート・ゼメキス製作によって2001年に製作されたリメイク版です。
それでは、ますは、あらすじから、
叔父から近代的なデザインの豪邸を相続したアーサー(トニー・シャルーブ)は、弁護士に連れられ、早速家族と共に豪邸を内見しに出かける。
非常にハイセンスな佇まいに、喜ぶ家族だったが、その地下室には想像を絶する秘密が隠されていた!?
という事でジョエル・シルバーとロバート・ゼメキスがウィリアム・キャッスル作品をリメイクする目的で設立したダークキャッスルエンターテイメントが製作した(TATARIたたり)に次ぐリメイク第2弾です。
ダークキャッスルはその後、オリジナル作品製作に舵をとり、ハル・ベリー主演の(ゴシカ)や、(エスター)、最近ではマット・デイモン主演の(サバービコン仮面を被った街)などを製作しています。
そんな長年に渡って話題作を多く製作する事になる製作会社の勢いのある2作目ですが、流石にウィリアム・キャッスル作品を製作するために作られた製作会社の作品だけあって、
オリジナルへのリスペクトを確実に残しながらも、しっかりと現代風(当時の)に描き直していく、というリメイク作品のお手本のような作品となっています。
オリジナルにあるお化け屋敷に入り込んでしまった感は据え置きに、お化け屋敷自体を現代風のアトラクションハウス的なギミック満載ビックリハウスに置き換える、
という現代(当時の)の観客が観ても飽きる事のないような演出で表現しています。
現代版への変更に伴い、暗闇の多い幽霊屋敷を透明なガラス張りのビックリハウスに変更した事で、闇に何かが潜んでいるかもしれないという恐怖感は薄れてしまいましたが、
その分どの角度からでも、メガネをかけている限り、ゴーストは見えてしまいますので、逆に常に危機感を募らせるような、
今、そこにある危機が、ずっとこちらを見て狙っている、という全く逆の怖さを生み出しています。
ただ、幽霊側も、透明なガラスに悪霊封じの呪文が書かれているガラスに関しては、ガードされてしまって進めないので、
幽霊も、襲うつもりでも、簡単には襲ってこれません。
この設定があるので、ある意味人間と幽霊の間での鬼ごっこ(文字通りですね、、)が成立します。
という事で、本作では幽霊的な怖さではなく、モンスター的な(まさに鬼的な)怖さを狙った作品となっています。
後半は完全にモンスター扱いなので、取り憑かれる、とか呪われるとかの演出は一切なく、襲われる時も持ち上げられて柱にたたきつけて背骨ごと折られる、
というもはや幽霊に対する恐怖とは別次元の強引な力技で襲われます。
なかなか思い切った表現ですが、後半になってくると、個性豊かな12人のゴースト(モンスター)もキャラ立ちしてきますので、
それぞれの見せ場で活躍するようになっていきます。
そのキャラ紹介の中で、その中に悲しい仕掛けもあるのですが、そういったちょっとした捻りを加える事で、
ただのビックリハウスホラーではなく、物語世界に深みを与える事になるのですが、その辺を詳しく書いてしまうと、作品の楽しみにも繋がりますので割愛させていただきます。
そんなこんなで最終的なクライマックスへと繋がっていくのですが、なかなかに良い余韻の残るラストとなっています。
このキャラ立ちなら、続編も結構製作できそうな感じなのですが、今現在に至っても、続編製作はされていないので、今後もちょっと厳しそうですね。
キャスト陣では、本作で優しいシングルファーザーを演じるトニー・シャローブは、本作以降も大活躍し、
本作翌年から始まる(名探偵モンク)でタイトルロールを演じるほどに大ブレイクしました。
予知能力を持っている(という設定は結局物語にはそれほど絡まなかったですが、、)叔父の助手役のマシュー・リラードは、
この時期(スクリーム)シリーズや(スクービー・ドゥー)シリーズなど出ずっぱりでしたが、何故か急に失速してしまいましたね、、。
そんな当時上昇気流に乗っていたキャストと製作陣によって製作された、話題のビックリハウスホラーのリメイク作です。
4DX上映の元祖ともいえるような、その時代ごとの製作者たちの、とことん楽しませてやろう、という気概に満ちた作品となっていますので、今一度、機会がありましたらご鑑賞してみてください。
作品情報
2001年製作 アメリカ製作 ホラー
監督 スティーヴ・ベック 制作 ジョエル・シルバー、ロバート・ゼメキス、ギルバート・アドラー
出演 トニー・シャローブ、マシュー・リラード、エンべス・ディビッツ、シャノン・エリザベス
その他のゴーストハウスホラー作品
ホラー版(ホームアローン)かと思いきや、驚愕のラストが待ち受ける(ゴーストホームアローン)はこちら
Jホラーのハリウッドリメイクのそのまたリメイク(ザ・グラッジ死霊の棲む屋敷)はこちら
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