おすすめ度 ★★☆☆☆☆☆☆☆☆
ギャンブルと酒に溺れて家族に逃げられ、巨額の借金返済のためにギャングに雇われ、対立組織員を処刑していく、という今までのセガールとは一味違った役柄を、まさかのほとんど自分で演じるという、奇跡のような、でもやっぱりいつも通りの印象の作品!!
作品紹介
2008年9月13日公開
今回ご紹介するのは、珍しくスティーヴン・セガールがほとんど自分自身で、ちょっといつもと違う主人公を演じた、いつものアクション作品です。
それでは、まずはあらすじから、
酒とギャンブルに溺れ、汚職事件で退職した元刑事マットは、今は教会に通い懺悔を繰り返しながらも、
自分の窮地を救ってくれたギャング団のボスの依頼を受けて、法で裁けぬ犯罪者を処刑する、という裏の仕事に手を染めていた。
しかし、その対象者に分かれた妻の再婚相手がいた事で、予想外の事件に巻き込まれるのだった!?
セガール主演のいつものアクション作品です。
ですが、セガールの気まぐれか、機嫌が良かったのか、明らかにいつもと違う要素が二つある作品となっています。
まず、一つ目は、主人公を演じるセガールの役柄です。
そのほとんどの作品が刑事、暗殺者、兵士、影のボス、特捜隊のボス、等威圧的、あるいは攻撃的な役柄が多く、
常に他のキャラクターをかなり高い所から他人を見下ろすような役柄ばかりを演じてきたセガールですが、
本作に限っては、元刑事ながらも汚職事件が原因で退職し、ギャンブルと酒に溺れて、娘の養育費にまで手を付けて、最終的に離婚されてしまったどうしようもないオヤジ、
というこれまでの神様目線とは180度違う、ある意味、物凄く人間臭い役柄を演じている作品となっています。
で、さらに、莫大な借金がかさんでいき、どうしようもなくなったところを、謎の老人の援助で借金を返済してもらい、
代わりに、法で裁けぬ悪人を処刑する、という闇の暗殺を請け負っている、という、どの様に感情移入して良いのか迷ってしまうような役柄を演じています。
ただ、そうはいってもセガールが演じているのはいつものセガールなので、セガールがセガールを演じるのにバリエーションはありませので、
全くもって、いつもと同じような演じ方、いつもと同じような話の流れとなっています。
要するに役柄は180度違っていても、内容はまるで変わりません。
この作品こそ、まさにセガール作品の安定感を表すのに最適な作品はないのではないでしょうか。
もう、セガールが主演と製作を担当している作品はどんな設定、物語だろうと、見た後の感想は同じという事が証明された作品と言っても過言ではないのではないでしょうか。
ただ、本作にはもう一つ、大きくこの時期のセガール作品と一線を画する要素があります。
それはセガールがちゃんとした(本当の意味の)主演としてセガールを演じている、という事です。
普通は当たり前の事ではありますが、セガール作品の場合は、画面に映るセガールは、結構大部分のシーンで後ろ姿になり、
体型がそれなりに似ている別人物に挿げ替えられます。
それをカット割りで誤魔化す、というパターンがほとんどで、コンビ作の多いキオニ・ワックスマン監督作品ですと、
この誤魔化し方が非常に上手く、それほど違和感なくセガールをスタント(というより影武者)と入れ替えてスムーズに物語を展開させていったりしています。
中には、セガールの機嫌が悪かったのか、何か他の用事があったのか、どう考えてもつながりのおかしい作品や、強引すぎる展開の作品、声さえ別人の作品等も少なくないですが、
それでもなんとか、それなりに楽しめる作品へと完成させていますので、実は物凄い手腕だと思われます。
そんな、影武者上等のセガール作品群が連発されていた2008年当時に、
何故か突然、ほとんどのセガール登場シーンをセガール自身が演じる、というまさかの(ほとんど)完全主演が実現したのが本作になります。
アクションもそれなりに自分でこなし、正面を向いて話し、それなりに共演者と一緒に映るシーンも存在する、普通の作品となっています。
監督もいつもの監督ではなく、ロエル・レイネ監督、という他の作品では組んでいない監督と製作した作品になりますので、
そういった点でも他の作品とは違った製作体制で臨んだ作品と言えるかもしれません。
因みに、このロエル・レイネ監督は、その後セガール作品を監督することはなく、B級作品ではありますが、
(ネバーサレンダー肉弾突撃)や(デスレース2)(同3)、(スコーピオンキング3)、(トゥームストーン/ザ・リベンジ)、(同2)、(12ラウンド/リローデッド)、(エネミーライン4)、(アイアンフィスト2)、(ハードターゲット2)と、
ヒット作、娯楽作の続編もの専門監督、と言っても良いぐらいに続編もので大活躍していますので、その確かな手腕が花開いたようです。
もしかすると、このセガール主演作品で、セガールに本当に主演させた、という実力が認められたのかもしれません。
という事で、セガールが結構出演しているシーンが多い作品ですので、いつものように相棒のような役割の割には、実質的には相棒の方が主演、
というような役柄も必要がなく、セガール自身がちゃんと物語を進めていきます。
で、その相棒の席が空いた(というかキャスティング費用が浮いた)ためか、セガールを援助してくれる老人にその費用がかけられています。
その老人を演じるのは、(エイリアン)シリーズのビショップことランス・ヘンリクセンで、正直あまり必要でもなさそうな役柄ではありますが、
流石の重厚な演技力で、セガールの新しい作品世界に説得力を与えています。
とはいえ、やぱり観終わった感想はいつも通りの安定感ですので、いつもと違う設定のいつも通りのセガールアクションを楽しめる作品となっていますので、
セガールファンの方や、アクション映画好きの方等ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
それにしても、ギャンブルで負けて悪態をついている小さいセガールは、意外に新鮮ですよ。
作品情報
2008年製作 アメリカ製作 アクション
監督 ロエル・レイネ 製作 スティーヴン・セガール
出演 スティーヴン・セガール、ランス・ヘンリクセン、ポール・カルデロン、レネイ・エリース・ゴールズべリィ
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