【セガール百烈拳! 其の三十一】沈黙の終焉(GENERAL COMMANDER)85分

投稿者: | 2023年5月31日

おすすめ度 ★★☆☆☆☆☆☆☆☆

セガールが特殊機関エージェントチームのリーダーとして東南アジアを舞台に臓器密売組織を相手に激闘を繰り広げるテレビシリーズを想定としたアクション!!

作品紹介

2019年1月11日公開

今回ご紹介する作品は、セガールがエージェントチームのリーダーとして活躍するアクション作品です。

それでは、まずはあらすじから、

東南アジアで暗躍する臓器密売組織を壊滅させるため、ジェイク・アレクサンダーをリーダーとするCIAの特殊エージェントチームが作戦行動を開始するが、

その任務中、メンバーの一人が犠牲になってしまうミスが起こり、それをきっかっけにCIAはチームを解散し、撤退命令を出す。

しかし、納得がいかないメンバー達は、独自の特殊チーム組織を新たに起ち上げ、犯罪組織壊滅に乗り出すのだった!?

まるでセガール引退作のようなキャッチコピーと邦題タイトルですが、一応現在までで公開されたセガール作品では今のところの最新作は(沈黙の鉄槌)(詳しくはこちら)ですので、

本作は、そのひとつ前に製作された作品になります。

ただ、同時期に製作されてはいますので、撮影の都合を考慮すると、もしかすると本作の方が後に撮影されていた可能性もありますので、

あながち盛り過ぎでもないような邦題となっています。

できれば、(沈黙の鉄槌)か本作が、本当の引退作にならないように、また新作を期待したいですね。

監督は、ジャン・クロード・ヴァンダム主演の(レクイエム)等を手掛けるフィリップ・マルチネスと、

香港を舞台に英語圏のキャストが失踪事件を繰り広げる(モデルキャプチャー)(詳しくはこちら)のロス・W・クラークソンが務めています。

2018年製作という事で、既にセガールがアメリカ以外の地域で映画を製作している時期の作品で、東南アジアに出向いて撮影した作品となっていますので、

欧米人がメインキャストなのに欧米っぽさは薄めで、しかも臓器密売組織と戦うエージェントの物語ですので、

なんとなく陰鬱な雰囲気の漂う、初期の明るい雰囲気の痛快なセガール作品とは、かなり趣の異なる作品となっています。

で、本作は元々監督のフィリップ・マルチネスベイ・ローガンの脚本を基に、【第三次世界大戦を防ぐために、主要な犯罪組織と戦う国際的な極秘の軍事機関】の活躍を描くテレビシリーズとして、

製作が開始されたようで、45分ずつの1話と2話を撮影したものの、なんらかの理由で、テレビシリーズ化は断念され(恐らくセガールがらみだと思われます)、

追加シーンを撮影して連続する2話の物語をつなげ、1本のビデオスルー映画として完成させた作品となっています。

ですので、前半はCIAに属する特殊エージェント組織と臓器密売組織の戦い、そして戦闘中のメンバーの死、そこから、その死によって悲しむそれぞれのメンバーのドラマを描き、

後半盛り返すのかと思えば、上司からチーム解散が命じられたので、あっさりと退職して、香港に住むセガールの知り合いのお金持ちのお姉さんに資金を無心して、

セガール自身がリーダーとなって、独自で動く新しい特殊チームを起ち上げて、メンバーの復讐+正義の鉄槌を臓器売買組織に下す、という

前半と後半で、しっかりした展開のある前編・後編っぽい作品となっています。

恐らく、監督が二人表記されているのは、この前編と後編を別々に二人の監督が演出していたためだと思われますが、

別々で撮影したにしては、(多少の不具合はあるにせよ)意外とまとまった内容となっています。

内容的には、分かり易くいうと、セガールが同じような立ち位置のキャラクターを演じたテレビシリーズ(TRUE JUSTICE)シリーズの新章のような内容となっています。

ですので、セガール主演作ではありますが、セガール自身はリーダーとして作戦本部(ワゴン車の中等)で、

部下たちの活躍をモニターで見て(エージェントはアイカメラのようなコンタクトを装着)、作戦を指示し、

作戦が盛り上がってきたら、のっそりと登場して、銃を構えながら、標的に近づいていく、というシーンがメインとなっていますので、

基本的にアクション中のセガールは、作戦の最終段階以外はモニターを見ているシーンでしか登場しません。

最後にゆっくり出てくるセガール

登場してからも、そんなに動きはなく、作戦行動中に部下を悪漢に人質に取られて、グズグズしていたら部下が射殺される、

というミスを前編で犯した挙句に、後編で同じシチュエーションが登場して克服するかと思いきや、またグズグズして人質にとられた犯人を取り逃がしてしまい、

その後、人質に取られていた部下の頑張りで自力で危機を脱する、というセガールにとっては、正直良い所がな無いアクション展開となっています。

クソう

ただ、シリーズ化を想定して描かれている部下のエージェントたちのキャラクターは立っていて、メンバーの死をきっかけに、

それぞれの悲しみが割と延々と描かれて、暫くドラマ映画のように詳細に描かれていきますので、セガールの良い所はなくても、

他のエージェント達は、割と印象に残る活躍を見せています。

言い換えると、特殊チーム自体は、細かい人間ドラマや、テンポの良いアクション等見せ場は多いですが、

それをまとめるセガールのみが、強いのか、弱いのか、実力があるのか、ないのか、表面上のいつものゴツい雰囲気以外は何も伝わらないので、

いつものセガール作品らしさは非常に薄い作品となっています。

東南アジアを舞台としたテレビシリーズを想定した作品という事で、強敵となるスター等も不在で、エージェント側もスター不在ではありますが、

その中でもやたらと深めの人間ドラマが描かれるレディドラゴンエージェント(と言っても本格的な格闘ではありませんが)、

ミカ・ハビエル

ミカ・ハビエルは、実は、フィリピンで人気の歌手ですので、本作を機に代打的に売り出す予定があったのか、

単独での家族との衝突シーンや、やたらとバイクに乗るシーン等、ドラマも深掘りされ、

エンディングで流れる主題歌(GENERAL COMMANDER)まで熱唱しています。

恐らくテレビシリーズ化されていば、主役級で活躍していたと思われますので、そちらも残念です。

因みに、この主題歌自体も、セガールの事を歌っているとは到底思えない(思いたくない)ぐらいにカッコ良く、ミカ・ハビエルの歌唱力も素晴らしいので、

もし、本作をご鑑賞の際には、エンディングで流れる曲もお聞き逃しの無いようにお勧めします。

ただ、歌詞のラップ部分に

【腕をへし折るセガール 分裂すれば倒れる】

【どこまでも探しに行く 呼ばれなくても現れる】

という本気か、イジりか判断しにくいような歌詞も登場する、もしかすると世界で唯一のセガール自身を客観的に表現した楽曲となっていますので、

映画自体は、寝落ちしても、エンディングだけは目を覚まして聞いてみてください。

という事で、いつもの雰囲気とは違う、セガール以外の多くの人が活躍し、最終的に本作の主題歌というより、セガールの主題歌が流れる貴重な作品となっていますので、

セガールファンの方や、アクション映画好きの方、そしてフィリピンポップス好きの方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。

良い映画とはいかなくても、良い曲ですよ。

作品情報

2018年製作 イギリス・フィリピン・ハンガリー製作 アクション

監督 フィリップ・マルチネス、ロス・W・クラークソン 製作・脚本 フィリップ・マルチネス

出演 スティーヴン・セガール、ミーガン・ブラウン、バイロン・ギブソン、ミカ・ハビエル、エドアルド・コスタ、エルデ・トゥヤ・バック

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