【カンフー映画】ツーフィンガー鷹 (DREADNAUGHT)94分

投稿者: | 2021年5月22日

カンフー映画としてのお薦め度 ★★★★★★☆☆☆☆

ゴールデンハーベスト社製作ユン・ピョウ主演第二作は、ユエン・ウーピン監督による超絶カンフーとウォン・フェイホンものを融合した傑作コメディカンフー作品!!

作品紹介

1988年6月11日公開

今回ご紹介するのは、ユン・ピョウ主演第二作であり、ユエン・ウーピンが監督したオールスターのカンフーアクション作品です。

それでは、まずはあらすじから、

姉と経営している洗濯屋で働くタイガー(ユン・ピョウ)は、気弱な性格で、今日も集金に出かけるが、逆に追い払われる始末だった。

そんな時、困ったタイガーを、知り合いで高名なカンフーの大家ウォン・フェイホン(クワン・タックヒン)の一番弟子であるリャン・フー(リョン・カーヤン)に手助けしてもらい集金業務をこなしていった。

順調に業務をこなしていたタイガーだったが、ある顧客を訪れた際に、そこに居合わせた正体不明の覆面化粧の男に突然命を狙われる。

気転を利かせてなんとか逃げきったが、その魔の手は、再びタイガーに忍び寄るのだった!?

獅子舞合戦はこのころの大作系のゴールデンハーベスト製作作品では定番のシーンです
ラスボス役のユエン・シンイー。このイメージの役が多いですね。というか全部役を使いまわしている感じが、、

ゴールデンハーベスト社で製作されたユン・ピョウ第二回主演作で、監督はユエン・ウーピンという事で、割とオールスターキャストの豪華な大作となっています。

ただ、日本においては、後ほど製作された(チャンピオン鷹)が先に公開され、ユン・ピョウ人気が急激に高まった事で旧作である本作の公開が決まり、

燃えよタイガー)という邦題で公開が予定されていましたが、何故か公開が見送られ、

その後もお蔵入り状態になり、結局かなり遅れて、製作から7年後の1988年になってやっと(ツーフィンガー鷹)という、別タイトルで公開に至った作品です。

ヒット作のあやかりと、一応劇中でユン・ピョウが、二本指で洗濯物を挟んで水分を落としていく、という洗濯作業をそのままカンフーの技に取り入れた洗濯拳を繰り出していきますので、

そのようなダジャレ的なタイトルが採用されたものと思われます。

あと、お酒の場でワンフィンガー、ツーフィンガーと表現するのが当時流行っていた、という事もあると思われますので、

色々と当時の流行り等を取り入れたタイトル、という事でしょうか。

ピースをして調子に乗っているのではなく、仕事をしながらカンフーの訓練もしているシーンです。
柔軟的な技も入れていきます。(その衣類が、預かりものだとすると、とんでもないですが、、)

という事で、ゴールデン・ハーベスト社で製作したサモ・ハンキンポー主演の(燃えよデブゴン7鉄の復讐拳)(詳しくはこちら)に次ぐユエン・ウーピン監督作品第二弾です。(その後ミラクルファイターという作品も製作しています)

勿論、武術指導はユエンブラザーズが担当していますので、キャストやアクションなどユエン印のアクションが満載となっています。

まずその豪華なキャストですが、主演は勿論、まだ初々しい時期のユン・ピョウ

本作では一応、ジェット・リーの(ワンス・アポン・アタイム・イン・チャイナ)シリーズで有名なウォン・フェイホンものの流れをくむ作品となっていますので、

役柄こそ違いますが、後年ユン・ピョウ自身の製作会社で製作される(ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ外伝 鬼脚)でもユン・ピョウ演じる主人公鬼脚七がウォン・フェイホンに弟子入りする、

という役柄でしたので、弟子見習い中という微妙に部外者という設定が共通しているのが興味深いですね。

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ天地黎明)では、本作でリョン・カーヤンが演じている一番弟子、リャン・フー役を演じていましたので、ウォンフェイホン役ではないものの、ウォン・フェイホン映画には何かと縁があるようです。

まだかわいい弟的なイメージのころのユン・ピョウ

で、そのウォン・フェイホンを演じるのは、ウォンフェイホンといえば、ご存じのクワン・タックヒンです。

すでにこの時点でウォン・フェイホン役を50本以上も演じる大ベテランですので、そのご本人登場はかなり豪華なキャスティングとなっています。

当時は本当にウォン・フェイホンのイメージとクワン・タックヒンのイメージを重ねていた人も多数いたそうで、ウォン・フェイホン役にクワン・タックヒンが出ているという事で、ある意味ご本人登場ぐらいのイメージがあったものと思われます。

ユエン・ウーピン監督のゴールデンハーベスト作品第1弾であるサモ・ハン主演(燃えよデブゴン7鉄の復讐拳)でも出演していましたが、そちらはどちらかというとかなりゲスト的な扱いでしたが、本作では前作よりも出演シーンも多く(少しですが)、アクションも披露してくれています。

ご存じ、ウォン・フェイホン役のクワン・タックヒン
クワン・タックヒンVSフィリップ・コー(でも恐らく体型的にユエン・チュンヤンのスタントダブルだと思われます)

そのウォン・フェイホンの一番弟子、リャン・フー役は、サモ・ハン作品などでお馴染みのリョン・カーヤン

本作では珍しくトレードマークの髭を剃り落してさっぱりした顔で登場します。

今回は、物語上途中退場してしまいますので、十分な活躍が見られませんが、その後ユン・ピョウの怒りが爆発するきっかけになる役柄で、非常に印象には残ります。

そういえば、ユンピョウ主演の第1弾(モンキーフィスト猿拳)でも相棒役を演じていましたので、少しではありますが、一緒に画面に映っているとなんかジーンときますね。

結局そちらも、物語上、リョン・カーヤンは本作と同じような目に合ってしまいましたが、、。

珍しい髭スッキリなリョン・カーヤン
(モンキーフィスト猿拳)のコンビ再び!!二人ともさっぱりしてますが

で、本作のラスボス役で強烈な印象を残しているのが、ユエンブラザーズの一人ユエン・シンイーです。

本作で演じたキャラクターがあまりに強烈すぎるため、その後、ほとんど同じような役柄で繰り返し悪役を演じています。

ユエンブラザーズ関係の(ミラクルファイター)や(妖怪道士)シリーズ、などの妖術カンフーものが多かったですが、ドニー・イェン初主演作品(ドラゴン酔太極拳)(詳しくはこちら)でも同じような役柄を演じていました。

非常に分かり易い悪役キャラで、他の人では真似できないような雰囲気ですので、勧善懲悪のカンフー作品などでは主人公を引き立てる役割もありますので、際立っていて良いのではないでしょうか。

鈴の音を聞くと亡くなった奥さんの事を思い出して顔に化粧を施して殺人を繰り返すという極端なサイコに
開幕早々に、ユエン・シンイーの極悪バトルが炸裂!!

その他の脇役でゲスト的に出演しているキャストも非常に豪華です。

まずは、冒頭一瞬ですが、ユエン・シンイーの極妻役で、女ドラゴン、ユン・チウが出演しています。近年になってチャウ・シンチー主演の(カンフーハッスル)でユン・ワーとのとんでもカンフー夫婦として復活しましたので、記憶に新しいですね。

極妻役のユン・チウ。なんか怖いですね、、。

ユン・ピョウのお姉さん役にショウ・ブラザーズでも活躍し、多くのカンフー映画で、女ドラゴンとして華麗な技を披露していたリリー・リー

そういえば、ジャッキー・チェン主演の(ヤングマスター師弟出馬)でも、ユン・ピョウのお姉さん役を演じていました。

本作では、ゲスト的な出演ですので、出演シーンは少ないですが、ユン・ピョウを厳しくも優しく見守るお姉さんを好演していました。

ユン・ピョウのお姉さん役リリー・リー、アクションは少しですが、、

ユエン・シンイーの殺人事件を捜査する警察官役で登場するのは、(ヤングマスター師弟出馬)や(燃えよデブゴン7鉄の復讐拳)にも出演していたファン・ムイサン

後年、ユエンブラザースの一人、ブランディ・ユエンが製作した真面目な仏教カンフー映画(少林寺達磨大師)(詳しくはこちら)でも高名な僧侶役で出演していました。

今回は事件を追う警察官役のファン・ムイサン

で、そのブランディ・ユエンは本作でもチョイ役ですが、警察官の一人として兄、ユエン・チュンヤンと共に出演しています。

ユエンブラザース作品の中では比較的チョイ役の多いブランディ・ユエン
(妖怪道士)でお馴染みのユエン・チュンヤンも少し出てます

で、ユエン・シンイー演じる殺人鬼が会話もままならないために、代わりに物語上の悪役を演じる事になる、ラスボスではない子ボス役のフィリップ・コーは、

前半までは、ウォン・フェイホンに敵意を抱くライバル武館の師匠役として、獅子舞合戦などでも素晴らしいアクションを披露しています。

今回はラスボスではなく、子ボス役のフィリップ・コー

で、一瞬の登場で見落としがちですが、悪役といったらこの人、フォン・ハックオンです。

今回は特に物語に必要というわけではないですが、暗殺者の一人として服屋の仕立てをしながら、攻撃を仕掛ける、というなんとも回りくどいやり方で、ウォン・フェイホンに戦いを挑みます。

お馴染み、悪役専門、フォン・ハックオン
フォン・ハックオンVSクワン・タックヒン。採寸しながらのバトル

というように、アクションもできて、人気や表現力の高いキャストが勢ぞろい、といった感じのオールスター作品となっています。

製作時期や、スタッフ・キャストなどが共通しているサモ・ハンキンポーの(燃えよデブゴン7鉄の復讐拳)や、ジャッキー・チェンの(ヤングマスター師弟出馬)などと同じ雰囲気を持った作品ですが、

どちらかというと、本作は他の作品に比べて物語の規模が小さく、カンフーアクションも比較的こじんまりしたシーンが多いように見受けられます。

サモ・ハン、ジャッキーに比べて、ユン・ピョウの持ち味のアクションテイストが違う、と言ってしまえばそれまでですが、

その桁外れの跳躍力や、アクションのキレの良さアクション自体の綺麗さでは、恐らくビッグスリーの中では随一だと思われますので、そんなユン・ピョウ独自の魅力を改めて見出していくのも、

このころの作品を鑑賞する楽しみの一つと言えるのではないでしょうか。

本作の魅力を一言で言うと、ズバリ、ユン・ピョウの桁外れの跳躍力ではないかと思われます。

ワイヤーワークをどう考えて使用していないようなシーンで、軽く飛んでいるように見えるジャンプでも、良く見ると、普通の人では絶対にたどり着けないような高さまで飛んでしまっています。

一つ一つのアクションが全て非常に軽やかで、見ていると、体が軽くてしょうがない、ぐらいに見えてきます。

脚力や筋肉で飛んでいるというより、備わっている跳躍力が通常の人の倍近くあるために、普通に飛んでいるのに普通の人より高く飛んでしまっている、といった感じです。

その後、ユン・ユンピョウは、カンフー映画、詠春拳映画の大傑作(ユン・ピョウinドラ息子カンフー)(詳しくはこちら)や、本作と同じくユエンブラザーズ製作の(チャンピオン鷹)に出演していくのですが、

その傑作群で残している名アクションの片鱗はすでに本作でも多く見受けられるのではないでしょうか。

このとんでもない跳躍の後にそのままバック中に入るので、ワイヤーなしの自力のジャンプ力で軽くここまで飛び上がったことになります。椅子のようなものからではありますが、物凄いジャンプ力です。
中盤のユン・ピョウVSユエン・シンイー。ユン・ピョウの身軽さが凄まじいです
ユン・ピョウの洗濯拳炸裂!!
ラストバトルはユン・ピョウの身軽さと力強さが前面に出ています。

という事で、ユン・ピョウ作品だけにとどまらず、その後の香港アクション映画で名シーンを数々生み出していくことになる実力者が多く結集したカンフー映画史に残る作品となっていますので、

機会がありましたら、是非ご鑑賞ください。

物語的には、ちょっと暗めで、展開は少々強引ですけど、アクション自体はやっぱり凄いですよ。

リャン・フーと鬼脚七のコンビによる獅子舞

作品情報

1981年製作 香港製作 カンフーアクション

監督 ユエン・ウーピン 制作 レイモンド・チョウ 武術指導 ユエンブラザース

出演 ユン・ピョウ、リョン・カーヤン、クワン・タクヒン、ユエン・シンイー、ユエン・チュンヤン、フィリップ・コー、ユン・チウ、ブランディ・ユエン、フォン・ハックオン、リリー・リー、ファン・ムイサン

山怪VSクワン・タックヒン(ほとんどスタントダブルですが)
本作でもおめでたい獅子舞合戦が前半の見せ場となっています

その他の傑作カンフー作品

リュー・チャーフィー主演、ラウ・カーウィン監督で描くカンフーアドベンチャー(ガッツフィスト魔宮拳)はこちら

サモ・ハンがトン・ワイを主演に迎えて描く詠春拳と五獣拳の物語(燃えよデブゴン9)はこちら

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