カンフー映画としてのお薦め度 ★★★★★★★☆☆☆
イップマン継承に登場した詠春拳の達人、張天志のその後を描いたドニー・イェン製作の正統スピンオフ!!
作品紹介
2019年3月9日公開
今回ご紹介するのは、ドニー・イェン主演で大ヒットした人気シリーズ(イップマン)の3作目に登場した同門のライバル武術家チョン・ティン・チーを主役にしたスピンオフ作品です。
それでは、まずはあらすじから、
イップマンとの戦いに敗れたチョン・ティン・チー(マックス・チャン)は自らの武館を閉鎖、現在は小さな食料品店を営み、息子と慎ましやかに暮らしていた。
そんなある日、かつて黒社会の仕事をしていた時の仲間だったキット一味に追われるバーの歌手ジュリアを助けた事で一味と揉め事となる。
それ以来、嫌がらせを受けていたチョンだったが、ついに住居に放火され息子ともども命を狙われることになる。
キットから追われていたところを救われたジュリアは恩を返すためにチョン親子を自宅に招き入れ、兄の経営するバーでの仕事の世話をする。
心機一転、バーでの仕事を始めたチョンだったが、そこは黒社会のボス、クワン(ミシェル・ヨー)が縄張りとする地域だった。
(イップマン)を題材とした作品は多数ありますのでややこしいですが、本作はドニー・イェンと本家シリーズのレイモンド・ウォンが製作している正統なスピンオフ作品です。
(イップマン)のテーマ音楽も最初の一瞬ですが流れます。
出演者も本家(イップマン継承)に登場したキャラクターが登場します。
主演のチョン・ティン・チーは勿論マックス・チャンですが、キット役のケビン・チェン、その相棒役のパトリック・タムと同じ役柄で登場しており、シリーズの世界観を広げています。
1作目に別人物役で登場していたシン・ユーが本作ではジュリアの兄フー役で何気に登場していますが、その辺はあくまで外伝、スピンオフという事で気づかなかった事にしておきましょう。
物語としてはあの、不器用で一本気すぎて少々危うい所のあるチョン・ティン・チーというキャラクターを主役にしたら、ズバリこんな感じ、というような期待通りの物語となっています。
そのキャラクターを生かした物語プラス、前作でイップマンに敗れて武館を閉鎖して以来、詠春拳は封印している、という後々燃える展開が待っていそうな設定で物語は始まります。
訓練で繰り返し使用していた木人なんかは洋服掛けになっています。
アクション面では、分数こそ少ないものの、前半で展開されるムエタイ使いの暗殺者、トニージャーとの路上通路での高速バトル、
中盤、組織に殴り込みに向かった時に展開されるミッシェル・ヨーとの武器を使用した室内バトルなど物語の合間にリズム良くアクションシーンが挿入されます。
そんなアクションシーンの目玉はやはり、ラストで待ち受けている良い人に見せかけて実は諸悪の根源だったデイヴ・バウティスタとのラストバトルに尽きます。
このラストバトルは、(イップマン継承)のドニーVSマイク・タイソンに匹敵する名勝負となっています。
重量級のバウティスタの物凄く重さの伝わる周りの物を破壊しながらの連続攻撃は、外見的にスリムな体形のマックス・チャンを吹き飛ばしながら攻めていきます。
しかし、バトル開始当初は防戦一方だったマックス・チャンも途中からはいよいよ伝家の宝刀、詠春拳の構えと共に名乗りを上げます。
『詠春、チョン・ティン・チー。』
待ってました!
ここからは、もう、バウティスタは敵ではありません。
イップマンとほぼ互角に渡り合った詠春拳の達人、チョン・ティン・チーが帰ってきたのですから。
不幸の名のもとに生まれてきたような人生を送ってきたチョンですが、戦いの果てに、ついに普通の人並みの幸せを手に入れて物語は終幕となります。
ほとんど見れなかった笑顔も見れるようになり、ほっと一安心といった感じです。
しかし、ファンとしては、できれば途中で終わっているトニー・ジャーとの決着戦が見たいです。
若干ですが、トニー・ジャーの離脱の仕方に続編での戦いを予感させるような含みがあったように感じたのですが、気のせいでしょうか、、。
というわけで、本作は詠春拳とは離れた物語ですが、チョン・ティン・チーという魅力的なカンフーキャラクターが大活躍するバトルアクションとなっていますので、香港映画好き、アクション映画好きの方にはお勧めの作品となっています。
作品情報
2018年製作 香港製作 カンフーアクション
監督 ユエン・ウーピン 製作 レイモンド・ウォン、ドニー・イェン
アクション指導 ユエン・シュンイー
出演 マックス・チャン、ミッシェル・ヨー、トニー・ジャー、デイヴ・バウティスタ、リウ・イェン、パトリック・タム、シン・ユー、ユン・ワー、クリッシー・チャウ
スタッフ・キャスト
監督のユエン・ウーピンは古くから多くの作品のスタッフとして活躍しながら1978年製作のジャッキー・チェン主演(スネーキーモンキー蛇拳)と同年の(ドランクモンキー酔拳)の監督作品で大ブレイク。一気にメジャー監督となる。その後、1980年製作サモ・ハンキンポー主演(燃えよデブゴン7)、1981年製作ユン・ピョウ主演(ツーフィンガー鷹)など大ヒット作を多く監督し、1984年ドニー・イェン主演デビュー作(ドラゴン酔太極拳)を監督する。その後はそのアクションセンスを認められ1999年ハリウッド作品(マトリックス)でアクション監督として全米進出し、翌年の(グリーンデスティニー)や(キル・ビル)シリーズへと活躍の場を広げている。
主演のマックス・チャンは多くの作品でスタントマンとして活躍していたが、2013年製作のウォン・カーワイ監督作品(グランドマスター)での演技が絶賛され、大ブレイク。その後は本作出演のトニー・ジャーと共演した2015年製作(ドラゴンマッハ!)、(イップマン継承)、2017年製作(狂獣欲望の海域)と順調に出演を重ね、2018年製作(パシフィックリムアップライジング)にてハリウッドデビューする。その後は本作を経て、2019年製作ハリウッド作品(大脱出3)にて主演のシルベスター・スタローン以上の活躍を見せる。今香港映画界で一番急成長中の動ける俳優。
黒社会の姉御役のミッシェル・ヨーは元ミス・マレーシアでサモ・ハンキンポーに見いだされ、1986年製作、真田広之共演の(皇家戦士)、1987年製作(チャイニーズウォリアーズ)など多くのレディースアクション作品で活躍。一時期引退していたが、1992年製作、ジャッキーチェン主演(ポリスストーリー3)にて完全復活。その後は1994年製作、詠春拳の開祖、詠春を描いたユエン・ウーピン監督作品(レディファイター詠春拳伝説)などを経て1997年製作ハリウッド作品(007トゥモロー・ネバー・ダイ)にてハリウッドデビュー。その後は2000年製作の(グリーンデスティニー)、2005年製作(SAYURI)、2008年製作(バビロンAD)など世界的な活躍を見せている。
その他の詠春拳を取り扱った作品
(イップマン)の詠春拳の大師匠リョン・チャンの若き日々を描いた(ユン・ピョウinドラ息子カンフー)はこちら
リョン・チャンが師匠として登場するサモ・ハン監督の傑作カンフーアクション(燃えよデブゴン10友情拳)はこちら
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