お薦め度 ★★★★★★★★★★
実在の詠春拳の達人、イップマンを10年に渡り描いてきたドニーイェン主演のカンフーアクションシリーズ堂々の完結篇!!!
作品情報
2019年製作 中国・香港製作 カンフーアクション
監督・製作 ウィルソン・イップ 製作 ドニー・イェン、レイモンド・ウォン
武術指導 ユエン・ウーピン 音楽 川井憲次
出演 ドニー・イェン、ウー・ユエ、スコット・アドキンス、ヴァネス・ウー、チャン・クォックワン、ケント・チェン、クリス・コリンズ、ヴァンダ・マーグラフ
スタッフ・キャスト
監督・製作のウィルソン・イップはドニー・イェンと初タッグを組んだ05年製作(SPL狼よ静かに死ね)が大ヒットを記録。その後同じコンビで06年製作の(かちこみ!ドラゴンタイガーゲート)、07年製作(導火線FLASH POINT)、と立て続けにヒットし、08年には(イップマン序章)にて詠春拳の実在の達人を描いたシリーズをスタートさせる。その後10年に第二作(イップマン葉門)、15年に第三作(イップマン継承)を監督し、いずれも大ヒットに導いている。
主演のドニー・イェンは本作のアクション監督、ユエン・ウーピンに見い出され、84年製作の(ドラゴン酔太極拳)でデビュー。多くのアクション作品で活躍した後に(ドラゴン危機一髪’97)にて主演・監督を務める。その後、98年にはハリウッドデビュー。(ハイランダー最終戦士)、(ブレイド2)などで出演と一部アクション指導で活躍している。その後は香港のみならずハリウッドでも人気を博し、本作シリーズ(イップマン序章)にて世界的なスターとなる。その後は16年製作(ローグワン/スターウォーズストーリー)、17年製作(トリプルX再起動)、17年製作(追龍)、18年製作(スーパーティーチャー熱血格闘)、20年製作(ムーラン)とまさに飛ぶ鳥を落とす勢いの活躍を見せている。
中華総会の会長役のウー・ユエは10代のころに武術大会で優勝した経験もある武術家であり、多くの作品でその本物の技を披露してきた。最近作では17年製作マックス・チャン主演の(狂獣欲望の海域)、17年製作のウィルソンイップ監督作品(SPL狼たちの処刑台)などがあり、いずれもその華麗な技を披露している。
アメリカ軍海兵隊の一等軍曹教官バートン・ゲッテズ役のスコット・アドキンスは今、世界で最も動ける、アクションスターの一人で12年製作の(エクスペンダブルズ2)、13年製作(ニンジャアベンジャーズ)、14年製作(ザ・ヘラクレス)、15年製作(マキシマムクラッシュ)、16年製作(ハードターゲット2)、17年製作(アメリカンアサシン)、18年製作(2バッドガイズ)と立て続けにアクション作品で大活躍している主演、悪役両方こなせる本格派。
あらすじ
1964年香港、妻を亡くし、息子と二人で暮らすイップマン(ドニー・イェン)だったが、息子は素行不良のため学校からは何度も呼び出されていた。
そんなある日、懸かりつけの医師の診断に呼び出される。
病名は癌だった。
病気のことを周りに告げず、すれ違う息子との間で過ぎていく日々。
息子の将来を案じたイップマンはかつての弟子、ブルース・リーから届いたサンフランシスコでの空手大会への招待を受ける。
このサンフランシスコへの旅のうちに息子の留学先を見つけようというのだった。
そして遠路サンフランシスコへと渡ったイップマンだったが、そこは中国人への人種差別の強く残る地域で、そこで暮らす中国人も閉鎖的な考えを持つ者たちばかりだった。
感想
ドニー・イェン主演(イップマン)シリーズの堂々完結篇です。
ついにこの日が来てしまいました。
近年完結といってきながら軽く帰ってきてしまった〇ンボーとは違い、完全に完結篇です。
そういう誰もが納得せざるをえないラストになっていたのでドニー・イェンが主演の正統なシリーズはこれで完全に完結です。
もう、ラストは今までのシリーズをリアルタイムで鑑賞してきた者にとっては感極まるラストとなっています。
ドニーの演技も10年に渡るシリーズを重ねる事で非常に説得力のある素晴らしい演技となっていました。
愛する奥さんを前作で亡くし、年ごろ反抗期の息子とのすれ違いと、自分の不治の病に悩む晩年のイップマンを見事に演じていました。
武術を習いたい息子と、武術を習得する事で多くの困難と戦う事となってしまったがゆえに頑なに息子を武術から遠ざける父。
この息子とのエピソードがかなり泣ける展開となっています。
個人的にドニー作品初見は、テレビ放映題で、(女デブゴン強烈無敵の体潰し)という物凄いタイトルで放映(後のビデオリリースではドラゴン酔太極拳というカッコいいタイトルに改題)されていたドニー初主演デビュー作品でした。
成り行きで適当に考えたようなようなタイトルですが、当時テレビ放映で人気のあったサモ・ハンキンポー主演の(燃えよデブゴン)シリーズにあやかったタイトルです。
勿論、サモ・ハンが出演しているわけではなく、重要な役柄でサモ・ハン並みの体形だった人気コメディアン、リディア・サムが出演しているがためだけに付けられたタイトルで、実際の主演はドニーでした。
作品自体はドニーアクションがすでにこのころから確立していて、(ドランクモンキー酔拳)ユエン・ウーピン監督のアクション演出の冴える傑作アクションとなっていました。
そこから始まり、ジェット・リー作品やジャッキー・チェン作品などの悪役で活躍した時期、
自ら監督・主演とこなした(ドラゴン危機一髪97)など独自のアクションを細部までコントロールできるようになった時期、
その確立したアクションが認められ、アクション監督としてハリウッド作品で活躍するようになった時期、
そして本作のイップマン役で世界的なトップスターへと上り詰め、ハリウッド大作での大きな役柄を演じるまでになったドニーのこれまでの軌跡とイップマンの物語とがオーバーラップして感極まる思いで鑑賞しました。
カワイイ若さ溢れるカンフーボーイが良くここまで立派になったもんだ、と勝手に思えてしまいます。
アクション面ではまずライバル的な位置で登場するウー・ユエとの本当に動ける者同士の本気バトルに始まり、お馴染み大人数の米兵相手の立ち回り、本物の格闘家クリス・コリンズとの激突、そしてお持ちかねアクション映画界で一番動ける男スコット・アドキンスとのシリーズラストを飾る大バトル。
そのどれもが目を見張る技の応酬で、見どころがあり過ぎるぐらいに沢山あります。
(イップマン)シリーズの素晴らしさは本作のウー・ユエ、クリス・コリンズ、スコット・アドキンス、のように本当に動けて魅せるアクションができるエキスパートばかりが出演している点が大きいと思います。
その本気アクションの素晴らしさと物語展開の素晴らしさが上手く混ざり合って10年以上続いたシリーズなのにシリーズ通して一人の武術家の人生物語として違和感なく鑑賞する事ができるようになっています。
そのシリーズものとしての完成度の高さが、このシリーズに関わった製作者がこのシリーズ作品をいかに大事にしてきたかを表しているのだと思います。
ですので、本作をご鑑賞の際はできるだけ前作までをおさらい鑑賞し直したうえで、シリーズ通しての完結篇を鑑賞する事をお勧めします。
そうすれば、本作ラストで素晴らしいテーマ音楽に乗って描かれるイップマンの軌跡を目にしたとき、
ほとんどの人が本作の宣伝文句と同じ事を心のなかで呟いてしまうと思います。
『さよらなら、イップマン、、、。』
心に残るシリーズ作品です。
(イップマン継承)で登場したチョン・ティン・チーを主役にしたスピンオフ(イップマン外伝マスターZ)はこちら
イップマンが伝えた詠春拳を扱った作品(ユン・ピョウinドラ息子カンフー)についてはこちら
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