『推薦!』ザ・バッド(THE MAIDEN HEIST)

投稿者: | 2020年6月15日

お薦め度 ★★★★★★★★☆☆

便乗タイトルと侮るなかれ、良い意味で予想外の内容に待遇の不遇さが悔やまれる、ちゃんと売り出していたらもっと有名になったはずの秀作コメディ!!

作品紹介

日本劇場未公開

今回ご紹介するのは、クリストファー・ウォーケン、モーガン・フリーマン、ウィリアム・H・メイシーとおじさん3人が名画を巡って奮闘するハートフルコメディです。

それでは、まずはあらすじから、

美術館の警備員として長年勤めるロジャー(クリストファー・ウォーケン)とチャーリー(モーガン・フリーマン)は定年退職が間近に迫っていた。

定年後は愛してやまないお気に入りの絵画を鑑賞しに来る日々を送るつもりだった。

しかし、新任の館長が赴任してきた事で予定が大きく狂う事になる。

館長は美術品の一新を独断で決定、ロジャーたちのお気に入りの作品はデンマークへと移転する事になってしまう。

そこで二人は絵画を盗み出そうと計画し、二人と同様にお気に入りの彫刻を見守る夜警担当のジョージ(ウィリアム・メイシー)も仲間に引き入れて美術品を盗み出す計画をたてるのだが、、。

お気に入りの絵画を見つめるウォーケン
しかし、移転する事になってしまう

とにかくもったいない!もったいないです。

本作のDVDジャケットを見ていただければわかるように同時期に公開されたブルース・ウィリス主演でヘレン・ミレンやジョン・マルコビッチなどの熟練キャストが勢ぞろいしたアクション作品(REDにあやかった売り出し方です。

本作も確かににクリストファー・ウォーケン、モーガン・フリーマン、ウィリアム・H・メイシーと同じような大御所キャストの共演作ですが、内容、というかジャンルごと全く違います。

本作は完全にコメディです

それも過激なギャグを連発する捧腹絶倒系の笑いではなく、ユルめのコメディです。

クリストファー・ウォーケン本作では名画の警備員。マフィアではありません。

REDのように銃をバンバン撃つようなアクション作品では全くありません

確かに複数の登場人物が協力してターゲットを盗み出す話なので、共通の目的をクリアするために年齢層の高い登場人物が協力して作戦を遂行する、というような物語としては共通する部分がないわけではありません。

しかし、作品の意図している主題があまりにかけ離れています。

話題作が公開されるたびに正体不明の作品を便乗して売り出す、というのは販売している側も商売ですのである程度しょうがない部分もあると思います。

それは分かっている事なのですが、本作に限っては、便乗した側の作品がへたしたら本家よりも面白い、という部分に大きな問題があると思います。

(RED)もシリーズ化されるぐらい面白い作品なのでジャンルが全く違う作品を比べる事自体無理な話ではあるのですが、、。

要するに、それほど本作の扱いが不遇すぎる、という事になると思います。

他の作品に便乗してしまうと年月が経てば本家以上に忘れられてしまいます。

現に本作の存在を覚えている人、というか存在自体を知らない人がほとんどだと思います。

本作のモーガン・フリーマンは横分けで登場

しかし、本作はしっかりオリジナル作品としての良さをアピールして売り出せばもっと後々に残る作品となったはずの作品ですのでとても残念です。

個人的にも(RED)に似たようなタイプの劣化版ぐらいのつもりで鑑賞しましたが、観始めると、この作品全体を包む優しい雰囲気と意外に先の展開が気になるストーリー、そしてラスト近くに待っている、全く予期していなかった心に残る名シーンに思わず心が躍ってしまいました。

そのシーンがなくてもそれまでに十分作品の心地よい雰囲気に暖かい気持ちになってしまいますが、そこに行き着くことで主人公が本当に一番大切に思っていたものがはっきりと分かるしかけになっています。

ちょっと変態入ってる?ウィリアム・H・メイシー

ストーリーも良いですし、もちろんレジェンド3人の説得力のある演技は素直に笑えて物語を盛り上げています。

熟練の製作者たちの素晴らしい技術により、観ているうちに作品世界の心地よいユルさに魅了される、予想外に魅力的な作品だと思います。

ビッグバジェットのイケイケ作品ではありませんが、ほっと一息つくときには最適な作品ですので機会がありましたら是非ご鑑賞ください。

絵画移転の話を耳にする

作品情報

2008年製作 アメリカ製作 コメディ

監督 ピーター・ヒューイット

出演 クリストファー・ウォーケン、モーガン・フリーマン、ウィリアム・H・メイシー

妻と旅行の計画を立てるが、、。

スタッフ・キャスト

監督のピーター・ヒューイットはキアヌー・リーブス主演でシリーズ第3弾の製作も控える(ビルとテッドの地獄地獄旅行)や(トムソーヤーの冒険)、(ホームアローン5)、(ガーフィールド)などファミリー作品などの監督作品で多く活躍している。

出演は主役のロジャーに(天国の門)、(ギャング・オブ・ニューヨーク)、(ブレインストーム)、(ディアハンター)、(戦争の犬たち)などの名作に多く出演しているクリストファー・ウォーケン。どちらかというと怖い性格の役柄を演じる事が多かったが本作では一転して真面目に働く不器用な性格の美術館のベテラン警備員を見事な説得力で演じている。

共演に(ドライビングミスデイジー)、(ロビンフッド)、最近では(エンド・オブ・ステイツ)などもはや説明不要なほどに名脇役として活躍し続けているモーガン・フリーマン。

そしてもう一人、(ある日どこかで)、(マグノリア)、(ブギーナイツ)などこちらも名脇役として常に活躍し続けているウィリアム・H・メイシー。

入念な計画を練るが、、。

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