鵞鳥湖の夜(WILD GOOSE LAKE)

投稿者: | 2020年10月3日

お薦め度 ★★★★★★☆☆☆☆

薄氷の殺人のディアオ・イーナン監督の新作は魅惑的な闇と光が渦巻くノワールサスペンス!!

作品紹介

2020年9月25日公開

今回ご紹介するのは、(薄氷の殺人)のディアオ・イーナン監督、フー・ゴー主演のノワール作品です。

それでは、まずはあらすじから、

バイク窃盗集団に属するチョウ・ザーノン(フー・ゴー)は、ある夜、敵対する組織との間で争いが生じた争いの中、誤って警官官を撃ち殺してしまう。

そのことで指名手配されたチョウは自身にかけられた報奨金を妻に受け取らせるために数年ぶりに接触を試みる。

しかし、待ち合わせ場所に現れたのは見ず知らずの美しい女性(グイ・ルンメイ)だった、、。

『お兄さん、火ある?』と話しかけてくる謎の女

(薄氷の殺人)のディアオ・イーナン監督待望の新作で、2019年のカンヌ映画祭においてポン・ジュノ監督の(パラサイト半地下の家族)と共に話題になった作品です。

(薄氷の殺人)は楽しめたのですが、先日鑑賞した中国映画、ビー・ガン監督の(ロングデイズジャーニー)が個人的には眠気との戦いになってしまいましたので、ちょっと警戒しながらの鑑賞でした。

という感じでの鑑賞ではありましたが、物語の舞台こそ、中国の田舎町で繰り広げられる男女の物語、と共通点はあるものの、

芸術性と娯楽性が程よくミックスされたバランス感覚が非常に心地よい作品となっていました。

展開としては、夜の暗がりで出会った男女の過去の物語をフラッシュバック形式で辿っていく流れですが、

非常にサスペンスフルで主演二人の好演も伴い、始まってすぐに物語に引き込まれてしまいました。

ディオナ・イーナン監督のビジュアルセンスと、

フー・ゴーの渋さと、

グイ・ルンメイのファムファタールとしての圧倒的な存在感が上手く相乗化として表れているのだと思われます。

サスペンスドラマとして終わるのかと思いきや、ラスト近くでは銃撃シーンや、ビニール傘を使った、非常に痛そうだけど目を見張るような大決着シーンもあったりします。

鵞鳥湖で一夜を過ごす二人。たばこの吸い方が特徴的。

ここのアクションの動きに合わせて印象的に流れる曲は、

恐らく古いカンフー映画(ジョセフ・クオ監督作品でよく流れていたような曲、というか映画の一番盛り上がるシーンで流れていた劇中の効果音なども含めてそのまま流しているような気がします)のもので、

ちょっと残酷なアクションを芸術的でダイナミックなシーンとして盛り上げていました

ここは、他の作品では見たことないような発想のシーンで監督のセンスに唸らされます。

でも、現実的には、傘を使ってそんな事ができるとは思えませんが、、。

あと、本作の時代設定は2013年という事で現在と微妙にずらしています。

当時は中国の土地の価格が高騰していき、地上げなどの影響で都市部でも貧富の差が顕著になっていき、

その結果として、貧しい地域では犯罪が横行するようになり、本作に登場するようなバイク窃盗集団や、海水浴場に出入りするビーチホステスなどが多く存在していたそうです。

そういった世界の住人だった二人の出会いと別れを描いたのが本作、という事になります。

今現在では、大型バイクの禁止令や風俗嬢も取り締まりの強化でほとんどいなくなった、という事ですので、この2013年という時代特有の存在だった、という事のようです。

というような事で、物語の大筋としては、割とストレートな展開ですが、監督のセンス、主演二人の名演技、そして当時特有の時代背景を切り取った物語が、本作を独特な雰囲気の秀作へと押し上げています。

割と難しい部分のない、楽しみやすい作品となっていますので、ご興味ある方は映画館まで鑑賞しに行けれてみてはいかがでしょうか。

ラストの再会シーン。ちょっと燃えよドラゴンみたいですね、、。

作品情報

2019年製作 中国製作 サスペンス

監督 ディアオ・イーナン

出演 フー・ゴー、グイ・ルンメイ、リャオ・ファン、レジーナ・ワン、チー・タオ、ホワン・ジュエ、クロエ・マーヤン、チャン・イーコン

主人公の奥さんと計画を練る女

その他のアジアを舞台にしたノワール作品

ドニー・イェン、アンディ・ラウ共演の実話を元にしたノワールアクションドラマ(追龍)はこちら

チョウ・ユンファ復活の偽札犯罪アクション(プロジェクト・グーテンべルク)はこちら

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