【香港映画】チャイニーズゴーストストーリー千年魔界大戦(THE GHOST STORY:LOVE REDEMPTION)86分

投稿者: | 2021年6月5日

お薦め度 ★★★★★☆☆☆☆☆

チャイニーズゴーストストーリーリメイク版の続編ではなく、その原作を執筆した作者を主人公に、有名な原作小説の誕生秘話をVFXを多用したファンタジックな映像で描いたバトルアクション!!

作品紹介

日本劇場未公開

今回ご紹介するのは、(チャイニーズゴーストストーリー)原作者のプー・ソンリンを主人公とした、原作誕生秘話です。

それでは、まずはあらすじから、

千年の間、封印によって閉じ込められていた妖魔、黒山が、復活しようとしていた。

原因は怪異小説家プー・ソンリンが偶然手にした妖力を持った筆で執筆された小説3編が完成したために、結界の均衡が崩れたためだった。

さらに最後の作品を完成させてしまうと、完全に結界は崩壊し、妖魔、黒山は世に解き放たれてしまうのだった。

この黒山の進行を止めるために天女は戦いを挑むが、反撃にあい、敗れてしまう。

そこで天女は、再び黒山を封印するために、プー・ソンリンの元へと向かうのだった!?

本作主人公の怪異小説家、プー・ソンリン
健気な奥さん、ジェン・ニアン(でも中身は天女)

邦題タイトルとDVDジャケットから、(チャイニーズゴーストストーリー)リメイク版(詳しくはこちら)の続編かと思いがちですが、

リメイク版チャイニーズゴーストストーリー

続編などのシリーズ作品ではなく、(チャイニーズゴーストストーリー)の原作者を主人公にした、原作誕生秘話を描いたファンタジックな物語となっています。

チャイニーズゴーストストーリー)の原作と同内容の物語(小謝)が後半クローズアップされますし、(チャイニーズゴーストストーリー)の女幽霊、シャオシェも登場します(リメイク版で演じていたエレノア・リーとは別の女優さんです)ので、

タイトルに(チャイニーズゴーストストーリー)と冠するのは、完全なミスリード、というわけでもないのですが、別物と思って鑑賞した方が良い内容になっています。

という事で、本作の立ち位置をはっきり理解したうえで、思い出すのは、ジャッキー・チェン主演の(ナイト・オブ・シャドー魔法拳)(詳しくはこちら)です。

ジャッキー主演のナイト・オブ・シャドー魔法拳

そちらも、本作の原作となった物語が含まれる原作(聊斎志異)の原作者プー・ソンリンを主人公にして、その原作が執筆された模様を描いた作品で、

そちらは原作者は実は妖怪ハンターだった、というジャッキーっぽい娯楽要素を取り混ぜ、途中まではCGで描かれたモンスターとダンスシーンを演じるなどのファミリー路線を展開しつつ、

後半は一転して号泣必至の切ない大ロマンス編に突入する、という力技がなかなか魅力的な作品でした。

で、本作ですが、本作も(ナイト・オブ・シャドー魔法拳)に負けず劣らずの、なかなかの力技ファンタジー作品となっています。

チャイニーズゴーストストーリー)っぽさは、ちょっと薄いですが、、。

本作主人公のプー・ソンリンは怪異小説家で、結婚して数年経つが、小説などにあまり興味のない奥さんとはほとんど会話もせずに、なかば無視しているような状態で、怪異小説の世界にどっぷりと浸かっています。

その原作はすでに3編が完成していて、それぞれ(画皮)、(インニン)、(小謝)の3編で、最後の1編(蘭若寺)が完成真近という状況です。

あまりの入れ込みように、プー・ソンリンは自身の小説に登場するキャラクターたちに感情移入しすぎてしまい、日々奥さんとの仲は冷え切っていくようになってしまいました。

そんな日常の中で、ついに修復できないところまでいってしまい、『離縁だ!』となってしまいます。

物語が始まって早々に、自分勝手な夫が離婚を言い出して、それにキレた奥さんが逆ギレして、夫の欠書いた小説に火を放つ、という物凄いシーンから始まり、そのまま火が家屋に燃え移り、

家は全焼する、というまだまだ、どんなキャラクターかもはっきり分からない内に、まるでクライマックスのような夫婦喧嘩シーンでの幕開けとなります。

家屋が燃え盛り、奥さんの身も非常に危うい状況にいきなりなります、、。

チャイニーズゴーストストーリー)のような物語を期待していると割と早めに心が折れてしまいそうになりますが、そこはとりあえずグッと我慢して観てみましょう。

その騒動と並行して、魔界では、黒山という恐ろしく強大な力を持った妖魔が封印から解かれて復活しそうになっています。

魔界はこんな感じです

理由は、プー・ソンリンには実は不思議な力があり(何故そんな力があるのか、はとりあえず置いておいて)、自身の不思議な力で妖力を宿していた筆(本人は気づいていませんでしたが)で書かれた小説には、

実は妖魔を封印する事も、解き放つこともできる特別な力があって、その作品を完成させるたびに、

実はかつて封印していた黒山の3つの封印を知らないうちに解いてしまっていたから、という事です。

プー・ソンリンからしたら、寝耳に水なので、気の毒ではありますが、そいう事なのでしょうがないです。

そういう事態に陥っている、という事をこの火事場で、いきなり現れた天女に聞かされます。

しかも、天女は、その火事場に現れる前に黒山と一戦交えて、大敗しての肉体を失ってしまったので、火事場で命の危険に晒されているプー・ソンリンの奥さんジェン・ニアンの肉体を借りて、

乗り移っている形での登場ですので、プー・ソンリンには奥さんの姿そのままで見えています。

黒山。分かり易く悪そうな存在ですね、、

プー・ソンリンもそれは把握していますが、ちょっとややこしいですね、、。

でも、この設定があるために後半に向けて、この物語は切なさが加速していきます。

で、プー・ソンリンはさっきまで無視し続けていた奥さんへの愛が急速に高まり、奥さんの肉体を返して欲しい、と懇願します。

そこで、天女曰く、奥さんの魂は魔界の黒山に囚われているので、助けるにはもう一度黒山を封印しなければならない、と告げられます。

封印には、黒山を封印していた生の門、老の門、病の門、死の門をもう一度、魔力のある筆の力を使って閉じて行く、必要があると。

それが、できるのはプー・ソンリンの不思議な力だけであると、言われます。

基本的には小説家なので、武術はできないので、筆が勝手に戦ってくれる、という感じのバトル

奥さんを助けたいプー・ソンリンと天女の利害が一致しているんですね。

という事で、前半、始まってすぐに物語自体に感情が入り込む前の段階で、この独特の設定を矢継ぎ早にされてしまうので、(チャイニーズゴーストストーリー)の続編ではない、という事実を受け入れようとしている最中という事もあって、

なんか、ややこしい、と思ってしまう人が多いかもしれませんが、この物語はこの気ぜわしい前半さえ乗り切って、さらに前半のこのプー・ソンリンのそっけなさすぎる態度を忘れてしまえば、

後半は結構盛り上がる展開となっていますので、前半はなんとか乗り切ってしまいましょう。

という事で、天女の付き添いで、魔界の門を閉じるための旅が始まります。

まずは生の門。

奥さんの姿をした天女との旅が始まる

結構この辺の展開は早いので分かりにくいですが、各門のある世界は、魔界の中の現実世界から離れた幻の世界に起源が存在しているように描かれています。

それも、基本的にプー・ソンリンの過去、本人が見えていなかった奥さんとの生活の部分を別角度で観返していくことになります。

その過去の映像から、実は奥さんはプー・ソンリンをとても愛していて、プー・ソンリンのために本人の知ららないところで、気遣い、プー・ソンリンが幸せに生活していく事だけを一番に願って生きていた事を知る事になります。

そんな奥さんの深い愛に全く気付く事なく、奥さんを邪険に扱い、小説の中の世界に没頭してしまっていたのです。

そんな自分勝手さに嫌気がさしてしまうプー・ソンリンですが、奥さんの愛に気づき、今度は自分の身を犠牲にしてまでも奥さんを助け出したいプー・ソンリンの奥さんを想う姿は、

その門、生の門の番人としての役目を担い、千年間そこに囚われていた門番、シャオ・ウェイの心を打ちます。

生の門の門番、シャオ・ウェイ

そして、その愛に絆されたシャオ・ウェイの涙は、そのまま開いてしまっていた封印の扉、生の門の扉を閉じ、プー・ソンリンが作り出した不思議な筆によって完全に閉じられます。

このような流れで、各門をそれぞれの世界で、自身の過去の幻の世界を別角度で観直していきながら、奥さんへの愛に気づく、という展開になっていきます。

老の門の番人、インニン
病の門の番人(演じている人は同じですが)

生、老、病と順調に門を閉じていくプー・ソンリンの旅はいよいよ死を司る、シャオシェの登場となります。

チャイニーズゴーストストーリー)の主人公であり、この物語ではプー・ソンリンが書いた小説(小謝)の主人公でもあり、さらには、その続編小説として執筆中の(蘭若寺)の主人公でもあります。

シャオシェは登場するなり、早く続編を書いて欲しいとプー・ソンリンに懇願します。

そうすれば、(チャイニーズゴーストストーリー)で人間と幽霊という立場の違いから悲しい別れを経験することになっていましまった、ニン・ツァイサンに再び会える、と。

ついに登場の(チャイニーズゴーストストーリー)のシャオ・シェ

チャイニーズゴーストストーリー)の物語を鑑賞済みの方でしたら、その切なさは十分分かるので、観ている側にもその切実さは十分伝わってきます。

でも、どうしても、その小説を完成させる事はできないんです。

この辺の主人公とシャオ・シェの葛藤は(チャイニーズゴーストストーリー)本編を鑑賞済みとそうでないのとでは大きく違いますので、

是非ともリメイク版の前作(できればオリジナルシリーズも)をご鑑賞されてからの本作鑑賞をお薦めします。

恐らく、鑑賞していないと、何故、最後の大ボス的なキャラクターにシャオ・シェが登場してくるのか、など十分には理解できないと思われます。

本国、中国ではあまりに有名過ぎる物語なので、説明不要でシャオ・シェが登場しても、どういういきさつを持っているキャラクターかは、ほとんどの人がすでに理解しているので、特に説明はなくても、

いよいよ登場、となりますが、日本では原作小説か映画の(チャイニーズゴーストストーリー)を観ていないとなかなか伝わりにくいのではにでしょうか。

そんな予想外に登場した大ボス、シャオ・シェの司る死の過去の幻は、主人公プー・ソンリンにとっては、受け入れられないような事実も判明します。

それと同時に、奥さんの本当の願いと、この旅の目的も同時に判明します。

生、老、病、死のそれぞれの門は、そのまま人の生きる人生とも繋がっていて、それぞれの過去のエピソードもそれに因んだエピソードになっていきます。

その門を閉じるための旅が、そのまま人の生きる道をなぞる旅と重なり、旅を始める前は、自分勝手な行動のために奥さんの命を危険に晒してしまうほどの揉め事に発展させてしまったプー・ソンリンが、

奥さんの愛に気づき、奥さんを助けるために始めた旅は、そのまま人生に大切な事に気づく旅へと結果的に発展していきます。

生、老、病、死、それぞれの物語に意味があり、魔界での長い旅を終えたプー・ソンリンは、その旅で得た大切な想いを胸に、現実世界でも旅を続けます。

その旅の道中、改めて、それまでに書いた物語に、その後経験した新しい経験などを踏まえて、全ての物語を一つの書にまとめます。

その小説の名が 【聊斎志異】 、約500編の短編からなる(チャイニーズゴーストストーリー)の原作が収められている怪異小説の最高峰です。

旅の終わりに、、

でも、プー・ソンリンにとって、その旅には、もう一つの目的がありました。

その旅の果てに奥さんにもう一度、どこかで会えるような気がしたからです

ですので、小説が完成してもプー・ソンリンの旅は続きます。

愛する奥さんと再び出逢う、その日まで、、。

プー・ソンリンの旅は続きます、、

という事で、前半の世界観の説明の速さにいきなりくじけそうになりますが、物語が進むにつれて、盛り上がっていき、後半には(チャイニーズゴーストストーリー)ファンには感涙の切ない展開へと突入していきますので、

是非とも(チャイニーズゴーストストーリー)をご鑑賞された方は本作もご鑑賞ください。

後半、切なさは爆発しますよ。

それぞれの門番とはバトルにりますが、そこは天女の出番です
奥さんの姿をした天女の存在も切ないですね、、

作品情報

2020年製作 中国製作 SFアクション

監督 ラン・チーウェイ

出演 ツァンヤキ、チャン・ズィーザン、ユー・ズイーチュー、グー・チーイェン、ワン・メイチー

この筆は特別な血を持つプー・ソンリンのみに作り出す事ができます

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