お薦め度 ★★★★★★★☆☆☆
ハリウッドのアクションシーンを支えた、知られざるスタントウーマンたちの偉業を綴ったアクション映画ファン必見のドキュメンタリー!!

作品紹介
2021年1月8日公開
今回ご紹介するのは、多くのハリウッド作品で命がけでスタントウーマンとして活躍する女性たちにスポットをあてたドキュメンタリー作品です。
それでは、まずはあらすじから、
ハリウッドでは1960年代から女性のスタントシーンにはスタントウーマンが活躍していた。
しかし、映画産業が発達するに従い、女性の活躍の場は失われていき、女性の代役の場合でも男性が女性の衣装を付けてスタントをこなすようになっていった。
そんな中、数少ないスタントウーマンたちは、男性とは違った繊細なアクション表現で、独自の道を切り開いてきたのだった。

映画界にあって陰の存在であるスタントマン、その中でも、常に性差別に肩身の狭い思いをさせられてきたスタントウーマンたちの活躍にスポットをあてたドキュメンタリー作品です。
今までDVDの映像特典のメイキング映像などで、その活躍を少し垣間見る事はありましたが、
本作のようにメインにスタントウーマンの活躍をまとめた映像、というのはおそらく本作が初めて、ぐらいではないでしょうか。
ですので、今まで個人的に沢山アクション映画は鑑賞してきましたが、本作によって、ほとんどのスタントウーマンを始めて知りました。
知っていたのは、タランティーノ作品で有名になって、その後結構アクション作品に出演していたゾーイ・ベルだけでした。
そんな知られざるハリウッドスタント業界にスポットをあてた本作ですが、
本作は製作総指揮をミッシェル・ロドリゲスが担当していて、恐らく(ワイルドスピード)などでのスタントウーマンたちの活躍ぶりを目にして、
本作製作を思い立ったのではないでしょうか。
実際に本作ではナレーションを担当し、出演もして、レジェンドスタントウーマンたちと対談も行っています。
そんなスタントウーマンたちの活躍が見れる本作ですが、アクションスタントを扱ったドキュメンタリーらしく、
非常にアクティブな編集で、まるでアクション映画を観ているような気分になるぐらいに目を見張るシーンが続出します。
今まで多くの人を楽しませてくれた有名過ぎるあのシーンも実は本作に登場しているスタントウーマンたちが危険なスタントをこなして実現していたりします。
名作アクション(スピード)のラストでバスの下から鉄の板に乗って道路を滑り出てくる印象的なラストシーンも、
(マトリックス)でカッコ良いバイクにキャリー・アン・モスが後ろに男性を乗せて、高速で多くの車をひらりと交わしながらジャンプで着地するバイクアクションも、
(トゥルーライズ)でジェイミー・リー・カーティスの代わりにヘリコプターから宙づりになるアクションも、
すべて、危険を顧みずに活躍するスタントウーマンたちの努力の結晶で、素晴らしい名シーンが誕生している、と言う事が本作を鑑賞すると実感できます。

また、本作は、今現在スタントの世界で活躍する若手の活躍も紹介しつつ、その若手たちが聞き手となって、
1970年代に活躍していたレジェンドスタントウーマンたちへのインタビューも収録されています。
ここが本作のもう一つの見どころとなっています。
70年代にブラックスプロイテーション作品の多くで活躍し、クエンティン・タランティーノ監督の(ジャッキー・ブラウン)でも人気が復活したパム・グリアのスタントダブルを演じていた女性や、
パニック作品の名作(ジェット・ローラー・コースター)で勢い余って地面に激突して、そのまま救急車で運ばれた女性、
スタントウーマンとして実績を残し、現在はアクション監督としてさらに飛躍している女性など、
スタントウーマンが活躍し始めた1960年代から現在までの歴史もしっかりと紹介されています。
そういった歴史を紹介しつつ、現在の若手のトレーニング風景なども多数紹介されています。
個人的には、カースタントが自分の思うようにできずに、練習場に通って、スタントを練習してついにできるようになるスタントウーマンの
ちょっと、愛嬌のある小者感(良い意味でです)がとっても好感が持てて、その人が活躍するアクションシーンを見てみたいと思いました。
まぁ、スタントウーマンなので、本編でしっかりスタントウーマンだと確認できてしまったら、それはそれで問題なのですが、、。
ラストは、高齢になっているレジェンドスタントウーマンの『自分はもっとスタントウーマンとして活躍したい、何もできない自分にはなりたくない。』
と、涙ながらに言うシーンにはこちらの目頭も熱くなってしまいます。
恐らく、映画の画面に映る職業の人にとっては、主役であれ、スタントウーマンであれ、多く作品を残している人であっても、
そこから自分が退かないといけなくなるような段階で、皆が感じる喪失感のようなものが、そこにはあるのではないでしょうか。
というわけで、本作はドキュメンタリーという事で敬遠する方もいるとは思いますが、
アクション映画好きの方にとっては確実に楽しめる作品となっていますので、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
スタントウーマンたちの弛まぬ努力にきっと、元気をもらい、自分も頑張らねば、と奮起する事、間違いなしですよ。

作品情報
2020年製作 アメリカ製作 ドキュメンタリー
監督 エイプリル・ライト 製作総指揮 ミッシェル・ロドリゲス
出演 ミッシェル・ロドリゲス、エイミー・ジョンソン、アリマ・ドーシー、ポール・バーホーベン

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