【推薦!未公開カンフー映画】南北醉拳(南北醉拳DANCE OF THE DRUNKEN MANTIS)95分

投稿者: | 2023年5月20日

(ドランクモンキー酔拳)の翌年に師匠役ユエン・シャオティエンにスポットを当て、ほとんど同じキャストで、ユエン・シンイー主演で製作された正統続編カンフー作品!!

カンフー映画としてのおすすめ度 ★★★★★★★★☆☆

作品紹介

今回ご紹介する作品は、ジャッキー・チェン以外のスタッフ・キャストが集結した(ドランクモンキー酔拳)の正統続編です。

それでは、まずはあらすじから、

醉拳で有名な蘇化子が3年ぶりに自宅に帰ってみると、激怒している妻と見知らぬ青年が待っていた。

その青年は、蘇化子があまりに自宅を留守にし、連絡が取れなくなってしまったために、相談する事なく迎えた養子モンだった。

自身に相談もなく迎えた義理の息子に、露骨に嫌悪感を表す蘇化子だったが、そんなある日、醉拳の別の流派、北醉拳の達人ツォイヨンが、

蘇化子の属する南醉拳を根絶やしにしようと挑戦してくるのだった!?

ユエン・ウーピン監督、ジャッキー・チェン主演の大ヒット作(ドランクモンキー醉拳)の正統続編作品です。

正統な続編ではありますが、残念ながらジャッキー・チェンは出演せずに、師匠の蘇化子を主役にし、その後を描く、という変化球的な続編となっています。

スタッフ・キャスト共にほとんど前作同様のメンバーに、さらに、ユエンブラザース作品ゆかりの最強メンバーが加わっていますので、

ジャッキー以外のスタッフ・キャストはパワーアップした作品となっています。

ただ、やはりジャッキーが抜けた穴はかなり大きいのですが、、、。

そんな豪華なキャストは、物語上の主人公である蘇化子役を、前作から引き続き(マッドカンフー地獄拳)(詳しくはこちら)や、

女少林寺)(詳しくはこちら)、(少林寺三十六房)等のユエン・シャオティエンが演じています。

本作では、他の亜流醉拳作品に出演している時のようにパートタイム出演ではなく、アクションシーンもドラマシーンも多めに出演していますので、中盤までは完全に単独主演作品となっています。

で、後半ほとんど主役になっていく蘇化子の養子役に、(妖怪道士)(詳しくはこちら)シリーズや、(燃えよデブゴン!お助け拳)(詳しくはこちら)、

ドラゴン醉太極拳)(詳しくはこちら)等の多くのカンフー作品に出演しているユエン・シンイーが扮し、

他の作品で演じる事の多い悪役ではなく、完全に善良なズッコケヒーロー役を好演しています。

で、そんなユエン・シンイーを養子に迎えた表面上は厳しいけれど、実は心の優しい母親役であり、勿論、蘇化子の妻役で、

前作(ドランクモンキー酔拳)や(蛇猫鶴混型拳)(詳しくはこちら)にも別の役柄で出演していたバレエレディドラゴン、リンダ・リンが登場し、華麗なアクションを披露しています。

リンダ・リン

さらに後半からの登場ですが、主人公に病拳という奇妙な技を伝授する蘇化子の身内役で、(クレージーモンキー笑拳)や、(醒拳)(詳しくはこちら)、

通天老虎)(詳しくはこちら)等、多くのカンフー映画で活躍しているヤム・サイクンが珍しく善人役で登場し、

あまりに奇妙過ぎる病拳の使い手を白塗りで棺桶に入りながら好演しています。

ヤム・サイクン

そんな蘇家一派に挑むのは、北派の醉拳の達人で、南派の醉拳を根絶やしにするために戦いを挑んでくる役柄で、

前作と、(スネーキーモンキー蛇拳)にもラスボスとして登場し、(蛇猫鶴混型拳)や(ブルース・リの復讐)(詳しくはこちら)、

天使行動)(詳しくはこちら)、(佛掌皇爺)(詳しくはこちら)等、多くのカンフーアクション作品で悪役を演じている名悪役、ウォン・チェンリーが登場し、

その多才なアクションの数々で、作品世界を盛り上げています。

ウォン・チェンリー

で、その一番弟子として常に行動を共にしている槍の達人を演じているのは、七小福出身で、俳優としてサモ・ハンキンポーの(イースタンコンドル)やアンディ・ラウも出演している(香港極道 野獣刑事)等に出演し、

監督として日本と香港合作の(龍の忍者)や、(検事Mr.ハー俺が法律だ!)、(レイジングサンダー)(詳しくはこちら)等多くのアクション作品を監督し、

アクション監督としても(トランスポーター)シリーズや、(ロミオ・マスト・ダイ)、(リーサルウェポン4)、(エクスペンダブルズ)等、

世界的にも活躍していく事になるコーリー・ユエン(ユン・ケイ)が華麗なアクションを披露し、主人公の前に立ちはだかります。

コーリー・ユエン

さらに、銀行のインチキ店主役で、脇役ながらも主演二人に戦いを挑み、勿論ズッコケカンフーを披露した挙句に痛い目に合う役柄で、

蛇拳)(醉拳)と連続出演し、その他にも(燃えよデブゴン出世拳)(詳しくはこちら)や、(燃えよデブゴン10友情拳)(詳しくはこちら)(Mr.ノーボディ)(詳しくはこちら)等、

カンフー映画のお笑い担当としては無くてはならない存在となっているディーン・セキがお馴染みの憎み切れない嫌味キャラクターで登場し、お笑い部分を広げています。

ディーン・セキ

そして、完全に端役でありますが、冒頭部分で蘇化子に成りすまして食堂での飲食料を無料にしてもらう、

という下衆い詐欺師役で、ユエンブラザースの一員でもあり、ほとんどの作品で脇役として登場する(ミラクルファイター)や、(中華道士)(詳しくはこちら)、

少林寺達磨大師)(詳しくはこちら)等のブランディ・ユエンが登場し、華麗なアクションを披露しています。

後ろ姿から判断すると、恐らく高齢なユエン・シャオティエンのスタントダブルを結構演じているのではないでしょうか。

ブランディ・ユエン

で、さらに、前半にリンダ・リンに戦いを挑んで、軽くやっつけられてしまう借金取り役で、本作に武術指導としても参加している(少林酔八拳)(詳しくはこちら)や、

少林寺 怒りの鉄拳)、(燃えよデブゴン カエル拳対カニ拳)(詳しくはこちら)等の多くのカンフー作品に出演しているチン・ユッサーンが登場し、作品世界を盛り上げています。

チン・ユッサーン

という感じで、スタッフ・キャスト共にカンフー映画のエキスパートが集結して製作された本作の物語は、

前作での弟子であるウォン・フェイフォンの大活躍の後、久々に故郷に帰った蘇化子が、帰宅してみるとリンダ・リン演じる妻と、

帰宅途中にひと悶着あった名前も知らない青年が自宅で生活している場面に出くわします。

正体不明の若者に不信がりますが、実はその青年は奥さんが養子に迎えた青年モンで、3年間も出た切りで戻らなかった蘇化子に相談する事もできずに独断で養子に迎えたという事でした。

で、ファーストコンタクトもセカンドコンタクトも印象の良くない義理の息子に、蘇化子はつらく当たります。

妻の強い勧めで醉拳を教える事になり、半ば押しかけ弟子のような関係でしぶしぶ醉拳を訓練する日々が始まりますが、

やはり蘇化子の方は乗り気ではないようで、親身に指導しているのかと思いきや、実はそれは醉拳の修行でも何でもなく、

ただただ、カンフーの基礎体力作りの指導のフリをしているだけだという事が、モンにも分かってしまいます。

醉拳の修行風 其の一
醉拳の修行風 其の二
結構酷い事を言う蘇化子
枕を濡らすシンイー(板の上ですが、、)

そこで、心底自分が嫌われ者で、カンフーの才能も無いと思い知ってしまったモンは、(義理の)父の下を飛び出し、修行を止めてしまいます。

で、食堂で、アルバイトを始めたある日、蘇化子と同じ醉拳の達人ながらも、南派の醉拳とは違う北派の醉拳を操る邪悪なツォイヨンが登場し、

蘇化子を探して亡き者にしようとしている事を知ってしまいます。

で、その弟子であるコーリー・ユエンも師匠以上にえらそうなので、やたらと攻撃的ですが、蘇化子を目の敵にしているその二人に、シンイーは敵意剥きだして接してしまいます。

そんなユエン・シンイーに、好戦的なコーリー・ユエンもカチンときますので、早速バトルへと突入しますが、

醉拳の修行を投げ出す、というか義父の意地悪で教えてもらえなかったユエン・シンイーは勿論、見様見真似の醉拳なので、大惨敗を喫してしまいますが、

蘇化子の養子だという事がバレています(というか調子に乗って自分で言ってしまう)ので、ボロボロにされながらも、蘇化子の居場所を特定するために命を奪われる事はなく、

結局蘇化子とツィイヨンの南北醉拳対決が早速実現してしまいます。

このシーンが、実際には、いきなりのクライマックスとも言える名勝負で、酒を酌み交わしながら、だんだんと本気の醉拳対決に移行していく、というワクワクするような名展開となっていきます。

この時期としてはユエン・シャオティエンもアクションを演じている部分が多く、相手役のウォン・チェンリーや、スタントダブルの素晴らしいアクションも伴って、

本作随一の名シーンとなっています。

例によって、中盤あたりで師匠が登板されるとアルコール切れになる場合が多く、この名勝負も途中で劣勢になり、

義理の息子の名助っ人ぶりでなんとか逃げ切りますが、この戦いの負傷によって、蘇化子が暫く寝込んでしまうぐらいの重傷を負ってしまいます。

で、そんな蘇化子の薬を買うために、薬店まで薬を買いにユエン・シンイーが出かけるのですが、その道中、

ある怪しい男が済む家屋の前を通った時に、そんな薬では父親の傷は治らない、とどこからともなく声が聞こえてきます。

で、その家屋に近づいてみると、庭に一つの棺桶があり、その中で顔の青白い男がいきなり迫ってきます。

で、その怪しすぎる男とちょっとした争いとなり、薬を取り上げられます。

その後薬を取り返して、帰宅し、父親に飲ませ、余った薬を飼っている蛇の入っているたらいに入れてみると、速攻で蛇が死んでしまいます。

何っ!』という事で、青白い棺桶男に薬をすり替えられた事を理解したユエン・シンイーはもう一度、あの家屋に出向き、青白男に詰め寄りますが、

実は、その男は義父や義母の知り合いで、その薬はその男が調合した薬で、状態を考えるとしっかりと快方に向かっている事が発覚します。

要するに、こっそりと蘇化子の命を救ってくれたのです。

で、しかもカンフーの達人という事で、父親の宿敵を倒すために、その棺桶男に弟子入りし、独特のカンフー技を修行していく、というのが本筋となっていきます。

因みにテレビで放送された際にこのヤム・サイクン演じる棺桶男の役名を【妖怪】と命名してしまっていますので、おかしな事になってしまっていますが、

この役柄の実際の中国名は【病君】(ペン・クワン)です。

妖怪改めペンクワンです。

かつて、江湖の世界で有名だった四人の義兄弟(というかチームでしょうか)【四怪】が存在し、

それぞれが、【病】を司る拳法を操るペンクワンと、【酒】を司る拳法を扱う蘇化子、他にも名前は分かりませんが【読書】を司る拳法を操る達人と、【占い】を司る拳法を操る達人から構成されているようです。

残りの二人は、劇中には登場しませんが、ヤム・サイクンユエン・シンイーに自身の操る病拳を披露する際に、

それそれ【読書拳】(本を読むような動作の合間に攻撃する)と【占い拳(卜拳)】(占いをするような動作の合間に攻撃する)を披露していて、

読書拳
卜拳(占い拳)

自身の【病拳】も、手首の脈をとるような動作をしながら攻撃する、という一連の動きを披露し、その中でも、蘇化子の【醉拳】が一番強いと、

わざわざ【病拳】の達人のペンクワンが言っていますので、【読書】【占い】は、恐らく弟分的な位置だったと思われます。

病拳

恐らく、このペンクワン妖怪というとんでもない役目を付けてしまったのは、この【四怪】というチーム名を、そのまま怪しい拳法を使う四人の妖怪と解釈して、

単純に妖怪と命名したと思われますが、中国語の【怪】は、もののけ的な意味合いよりも、(奇妙な、)とか、(不可思議な、)という感じで使われますので、

正しくは【四人の妖怪】ではなく、【四人の奇妙な人々】もしくは【四人の風変わりな達人】という似て非なる存在を意味しています。

ですので、

ヤム・サイクンが演じている役柄は妖怪ではなく、顔の青白い普通の人です。

人です

確かに【読書】【占い】【病】と醉拳以外は怪しい拳法ばかりではありますが、恐らくシリーズの続編としてバリエーションを加えるために、

他のカンフー作品ではあまり描かれない拳法として身体の状態や特定の動作をそのままカンフー技として取り入れた四つの技設定を加え、

さらにその中でも【病拳】にスポットを当てて、醉拳に対抗する必殺技として設定したのだと思われます。

身体の状態や動作を模した技としては、ジャッキー笑拳に近いとも言えそうです。

脈をとる
腰が痛い
膝が痛い
熱がある

ただ、良く考えると、

病気のフリをして油断した相手に攻撃を加える、という技は

ヒーローが使う技としては物凄く卑怯ですが、、。

『、、、、』

対するウォン・チェンリーの方も【醉歩蟷螂】という醉拳に蟷螂拳を加えた技を披露し、途中からは醉拳要素もかなり薄まってしまいますが、

流石のカンフーアクションのプロばかりが参加している作品ですので、本題からズレてもそんなには気にならないぐらいの名シーンの連続となっています。

という事で、ストーリー的には前半は蘇化子の物語として始まっておきながら、後半は義理の息子の話になり、

醉拳対決が主題だった前半から、後半は醉拳以外の技がメインになってしまう、という物語構成はちょっと行き当たりバッタリ感がありますが、

カンフーアクションに関しては、何度も観返してしまえるぐらいに素晴らしいアクションの連続となっていますので、

カンフー映画好きの方や、香港映画好きの方等、機会がありましたら、是非ご鑑賞してみて下さい。

作品情報

1979年製作 香港製作 カンフーアクション

監督 ユエン・ウーピン 武術指導 ユエン・シンイー、チン・ユッサーン、ブランディ・ユエン、コーリー・ユエン

出演 ユエン・シャオティエン、ユエン・シンイー、ウォン・チェンリー、リンダ・リン、ヤム・サイクン、ディーン・セキ、ブランディ・ユエン、コーリー・ユエン、チン・ユッサーン

↓ランキングに参加しています。もし、宜しければ下記をクリックお願い致します↓

映画レビューランキング
映画レビューランキング

にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村

PVアクセスランキング にほんブログ村

コメントを残す