カンフー映画としてのおすすめ度 ★★★★★★★★☆☆
前作までとは趣を変え、三男坊チン・ソンロンを主演に、母親探しの旅の過程でトリオが出会い、それぞれの人間ドラマをたっぷり描きながら友情を深めていく、シリーズ屈指の感動ドラマ!!泣けます!!
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹する作品は、人気シリーズ(カンフーキッド)の第三弾にしてシリーズ屈指の感動アクションドラマです。
それでは、まずはあらすじから、
母親と起き別れになっていたデブちゃんは、父親の再婚相手とは馴染めずに、今日も涙を流していた。
そんなある日、ついに決意を固めたデブちゃんは、本当の母親を探すために一人で旅に出るのだった。
そして訪れた街で、困っていたところをスリの少年クォに助けてもらい、2人は次第に打ち解けていく。
生活のために雑技団の試験を受けた二人は、そこで花形スターの少年タイガーと出会う。
反目するクォとタイガーだったが、ぶつかり合いながらも3人には友情が芽生えていく。
しかし、そんな3人に空襲が襲う!?
(カンフーキッド)(詳しくはこちら)、(カンフーキッド続集)(詳しくはこちら)に続くシリーズ第三弾です。
監督は前作までのジュ・イェンピンに変わってジュディ・リー主演の(カンフーコップ)シリーズの第二弾(横冲直撞女煞星)や、
家族ドラマ(星星的故乡)等のリン・フーティーで、ドラマ作品で培った演出力で、キッズカンフーアクションと人間ドラマの融合、という難しいテーマを演出しています。
主演は、勿論前作までと同じように、本作以降、色々あって映画界に復帰し、近年では(疯狂电视台)等でも活躍しているイェン・セイコウと、
ドニー・イェン主演の(ヒート)や、(精武風雲)等のアクション作品で活躍し、テレビドラマ(我的胡搅年代)では監督としても活躍しているツオ・シャオフー、
そして、ツオ・シャオフーやウー・マも出演している(小鬼大哥大)等のチン・ソンロン、というお馴染みのトリオが活躍する物語となっています。
そこに、3人が世話になる劇団の座長役で、ジャッキー・チェンの(ヤングマスター師弟出馬)や(必殺鉄指拳)等の、厳しい指導者役で有名なティエン・ファンが登場し、
いつものように主人公達を厳しくしごいていきます。
で、さらに主人公達を悪の世界に導こうとするスリ団の親方役で、サイモン・リー主演の(復讐!少林胡蝶拳)(詳しくはこちら)のクー・チェン、
そして、本作のヒロインとも言える役柄で、アダム・チェン主演のテレビドラマシリーズ(神捕)等に出演しているグレース・ユーが深みのあるドラマティックな役柄で、
後半部分のドラマを盛り上げていきます。
というお馴染みのメンバーで製作された三作目である本作の物語は、前二作とはかなり趣が異なり、
戦時中の中国を舞台に、トリオは兄弟役ではなく、別々な出自で育った子供達で、しかも主演はまさかの三男坊役だったチン・ソンロン、という変化球な物語設定となっています。
で、そんなチン・ソンロンが、父親の再婚相手の傍若無人さに嫌気がさし、戦争の影響で生き別れになっている母親を探して旅に出る、
という(母を訪ねて三千里)のような人間ドラマがベースとなっています。
で、犬と一緒に旅に出たチン・ソンロン(役名はちびデブ、、、)は、それなりに遠くの街(子供が台詞で言っているだけなので、実際遠いのかどうかは分かりませんが)で、
スリであるイェン・セイコウと出会います。
なんとなくウマが合う二人ですが、チン・ソンロンの事が気に入ったイェン・セイコウは、
自身が世話になっているスリ団の親方(でも、赤ん坊の頃に捨てられていたイェン・セイコウを育ててくれた恩人)に紹介し、なんとか食事をとらせようとします。
でも、チン・ソンロンは、強くはないですが、曲がった事が大嫌いな正義感の強い子供なので、スリ行為は頑なに拒否したとこで、
煽りを喰らってイェン・セイコウもスリ団を後にする事になってしまいます。
しかし、それでも腹を満たさないといけないので、街でにぎわっていた演劇団一座の子役(猿の子供役)のオーディションを受ける事になります。
この劇団の子役ナンバーワン的な劇団員が、ツオ・シャオフーで、強気で跳ね返り者なので、腕の立つイェン・セイコウとは、
初対面からバチバチで、目が合うなり喧嘩に繋がる、という感じでカンフー対決を繰り返します。
で、勿論チン・ソンロンは全然アクションができるタイプではありませんので、オーディションも不合格となりますが、
イェン・セイコウの方は、素晴らしいアクションはできるのと、劇団のお得意様である富豪の奥さんの盗られた財布を取り返したという功績もあり、
そのまま採用となり、ついでにチン・ソンロンもオマケ的に合格となります。
で、そこからこの一座を舞台とした3人の子供達の人間ドラマが展開されていく、というのがメインの展開となっていきます。
このそれぞれのキャラクターの違いと、それぞれが背負っているドラマが非常に秀逸で、カンフーはできないけれども非常にピュアな心の持ち主で、
弟的な位置に居るけれども、他の2人が間違った行動をとった時は、恐れず異を唱える、という実は芯が強い一面を持つ主演のチン・ソンロン、
そして、捨て子として拾われた親代わりが、スリ団のリーダーだったという生まれながらの不幸を背負い、
逃げられない運命からスリとして暮らしていたが、チン・ソンロンと出会い、その人間性に触れた事で、更生していき、
それでも、それまで自分を育ててくれた親方への恩義は決して忘れない優しい心を持つイェン・セイコウ、
そして、演劇団のエリート子役スターかと思いきや、内部に入ってみると実は、先輩劇団員から雑用係りのように扱われ、
それでも懸命に武芸の技術を磨いて、スターになって故郷の母親に会いに行きたいと懸命な努力を重ねるツオ・シャオフー、
という感じで、それぞれが背負っているドラマが、上手く物語に反映されて、しかもそのドラマにアクションも適度に挿入されますので、
非常にドラマチックなアクションストーリーが展開される作品となっています。
メインとなる母親探し、という目的は、はっきり言って、中盤当たりですぐに結果が分かりますので、観ている側からすると、
子供達が、いつその事実に気付くのか?という別の盛り上がり方になっていきますが、その母親探しのドラマを差し引いても、
3人が遭遇するドラマが、あまりにドラマチックで、しかも3人も涙を誘う名演を披露していますので、前作までのお笑い展開はなんだったんだ?というぐらいに感動ドラマ一直線な内容となっています。
勿論、お笑い的な要素もありますが、感動ドラマの比率が極めて高い上に、そのドラマ自体の描かれ方も、
しっかりと物語に入り込めるような、丁寧な描かれ方をしていますので、極端に言ってしまうとカンフーアクションが全てカットされてしまっても、
ドラマ部分だけで、十分堪能できるドラマ重視な作品となっています。
逆に言うと、シリーズの原型ともなった(カンフーキッド2悪ガキ6人衆)(詳しくはこちら)のような、
年端のいかぬ子供達が、囚人として仲間と出会ったり、皿洗いのアルバイトを皆でやってみたり、ゴツイ大人相手に格闘で圧倒してみたり、
というファンタジーのような世界観や、そういう意味での魅力は薄まって、子供達が遭遇するドラマとしてはリアルな、ありえなくもないような世界観となっています。
という事で、シリーズ中、というより、湾製キッズムービーの中でも屈指の名感動ドラマとなっていますので、
ドラマ好きの方等ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
泣けますよ!
作品情報
1987年製作 台湾製作 カンフーアクションドラマ
監督 リン・フーティー 製作 シュー・フォン
出演 イエン・セイコウ、ツオ・シャオフー、チン・ソンロン、
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