【香港映画】ワイルドシティ(迷城WILD CITY)102分

投稿者: | 2021年7月1日

お薦め度 ★★★★☆☆☆☆☆☆

80年代、90年代の香港映画界を駆け抜けたリンゴ・ラム監督が、ルイス・クー、ショーン・ユー他豪華キャストで描く90年代香港アクションの香り漂う、ワイルドアクション作品!!

作品紹介

2017年1月24日公開

今回ご紹介するのは、2018年に亡くなったリンゴ・ラム監督の80年代、90年代の香り漂う香港アクション作品です。

それでは、まずはあらすじから、

元警察官でバーを経営するマン(ルイス・クー)は、ある夜の閉店後、泥酔していた女性(トン・リーヤー)を介抱する。

しかし、女性はある組織から終われる身であり、成り行きで助けてしまった事で、マンと弟(ショーン・ユー)は組織を敵に回す事になってしまう。

組織からも、警察からも終われる身となった3人は、逆転をかけたある作戦に打って出る、、!?

今回も男臭い渋い兄貴を演じているルイス・クー

2018年に惜しくも亡くなったリンゴ・ラム監督の90年代の雰囲気漂うワイルドなアクション作品です。

映像が綺麗で、主演俳優もルイス・クーシューン・ユーと今現在人気のキャストですので、一見今風な香港現代アクションといった感じですが、

この二人が演じているキャラクターを、リンゴ・ラム監督と数々の名作を残してきたチョウ・ユンファや、ダニー・リー、同時期に香港ノワールで活躍していたティ・ロンなどに置き換えてみると、

あっという間に80年代、90年代の元気だったころの香港映画に見えてしまうので不思議です。

ルイス・クーに関しては良くも悪くも、いつも通り、といった感じですが、特にショーン・ユーが演じている軽薄そうでガサツな性格に見えて、実は人一倍情に厚い

というキャラクターは(男たちの挽歌)などの香港ノワール作品でチョウ・ユンファが演じていた、キャラクターを思い起こさせます。

一度そう見えてしまうと、もうチョウ・ユンファにしか見えないぐらいにピッタリとハマっています。

本作の本筋の物語のように、全く無関係の人間をそこまで深入りして命がけで助ける、という物語の流れ自体は、現在の香港映画界で製作されているようなリアルな作風から考えると、

少し違和感を感じるかもしれませんが、これを80年代の香港映画風に変換すると、それほど違和感も気にならなくなります。

これは、タクシー運転手であるショーン・ユーが商売道具であるタクシーをほったらかして女性を助けて戦いになっている状況に、当初冷静だったルイス・クーが訪ねるシーンに全てが表されています。

ルイス・クー『大事なタクシーは良いのか?

ショーン・ユー『美女が困っていれば、助けるのが当然だろ

これぞ、香港映画イズム

香港映画に細かい説得力はいらないんですね。

美女が悪者に追われていれば、とりあえず何も考えずに助ける。

本作は、そういった80年代の香港映画イズムに沿って展開される物語となっています。

ショーン・ユーのキャラクターがチョウ・ユンファに重なります

ですので、はっきりいって、主人公達二人は、何度も事件から手を引く安全な選択肢を選ぶ事ができますが、そちらを選ぶ事は絶対ありません。

そんな古き良き香港映画イズムで展開される本作は、主演の二人を筆頭に豪華な脇役陣の顔合わせが実現しています。

まずは、2人を育てた母親役に(ツーフィンガー鷹)(詳しくはこちら)や、他の多くのカンフー作品での女ドラゴン期を経て、チャウ・シンチーの(カンフーハッスル)で大復活を果たしたユン・チウ

ルイス・クーの元上司役でジョニー・トー作品の常連サイモン・ヤム、黒社会の兄貴分的なチンピラ役に貫禄の着いてきた(メイド・イン・ホンコン)などのサム・リー

弁護士役で、(欲望の街)シリーズで人気爆発後、多くのテレビシリーズで活躍を続け、最近では悪役中心に活躍している(ゴールデンジョブ)(詳しくはこちら)などのマイケル・ツェー

警察側の特捜隊の隊員で(バース・オブ・ドラゴン)のブルース・リー役や、潜入捜査官ものの主演作(ダブルフェイス潜入者)(詳しくはこちら)などで人気急上昇中のフィリップ・ン

それとアンデ・ラウ主演の(ショックウェーブ爆弾処理班)などでの数々の受賞で、急激に人気が高まり、新作(人生の運転手)の公開も待ち遠しいフィリップ・キョンなど、

フィリップ・キョン期待の新作(人生の運転手)

豪華な顔ぶれが揃っています。

このような豪華なキャストが実現したのも、リンゴ・ラム監督の長年の香港映画界での功績と、それにプラスして、リレー形式で一部を監督した(強奪のトライアングル)を除けば、自身で全編演出した監督作品は12年ぶりでしたので、

かなり期待も高まる中、十分な準備と予算を確保して製作された作品だったから、ではないでしょうか。

アクションも、基本的には、香港の街を縦横無尽に暴れまわるような、かつての(友は風の彼方に)や、(聖戦)、(フルコンタクト)のようなワイルド系の荒々しいアクションメインですので、

基本どんなアクションでもゲリラ撮影だった古き良き香港アクションを思い出させてくれるアクションが、見ていて痛快なシーンの連続となっています。

時々、CGの加工が目立っていましたが、そこは最新の技術で蘇った古き良き香港アクション、という事で新たに楽しめる部分となっています。

という事で、リンゴ・ラム監督が遺した貴重な80年代風味の香る、ワイルドな香港アクション作品となっていますので、

香港映画好きの方、アクション好きの方などご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。

特に、ショーン・ユーのキャラクターは香港映画好きの方でしたら、ぐっときますよ。

ルイス・クー、今回は一応、一般人役です。元警察官ですが。

作品情報

2015年製作 香港製作 アクション

監督・脚本 リンゴ・ラム

出演 ルイス・クー、ショーン・ユー、チャン・チャオチュアン、サイモン・ヤム、サム・リー、トン・リーヤー、フィリップ・ン、フェリップ・キョン、ユン・チウ

美女が困っているのを助けるのに理由はいりません

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アンディ・ラウ、ルイス・クー共演の麻薬絡みの大激突!!(ホワイトストーム)はこちら

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