【香港映画】マッドモンク 魔界ドラゴンファイター (THE MAD MONK)89分

投稿者: | 2021年8月6日

お薦め度 ★★★☆☆☆☆☆☆☆

天界から追放されそうになった下級天使が、天界に留まるために、3人の不心得者を改心させる、という仏教的な物語を、完全にチャウ・シンチーお得意の下世話なギャグ満載映画にする、という当時の勢いを感じさせるジョニー・トー監督の大ヒット作品!!

1977年版
2021年版

作品紹介

1996年11月16日公開

今回ご紹介するのは、チャウ・シンチーが人気の絶頂期に連発していた時代劇コメディの大ヒット作品です。

それでは、まずはあらすじから、

度重なる不祥事に身分を降格されそうになった天上界の神の一人、降龍羅漢(チャウ・シンチー)は、観音菩薩(アニタ・ムイ)の計らいで、

人間界の信仰心の薄い3人の人間を、改心させることができれば、降格を取りやめる、と条件をだされる。

そこで、早速人間界に人間として生まれ変わった降龍羅漢は、一緒に転生してきた伏虎羅漢(ン・マンタ)とともに、3人の人間を悔い改めさせるために奮闘する。

僧侶感とホームレス感を絶妙にミックスさせた装いで登場のチャウ・シンチー

1990年代前半まさに飛ぶ鳥を落とす勢いだった時期のチャウ・シンチー映画の人気ジャンル、時代劇コメディ作品で、当時大ヒットした作品です。

本作以外にも1992年製作の(キング・オブ・カンフー)、(熱血弁護士)、(ロイヤルトランプ)シリーズを皮切りに(詩人の大冒険)や(広州殺人事件)など

それまで、時代劇といえば、武侠・カンフー作品がメインでしたが、そこをあえてアクションは味付け程度にして、ほぼチャウ・シンチーの現代的なお笑い一色に染めてしまう、

というある意味、他の作品では味わえないチャウ・シンチーオリジナルの人気ジャンルの一つとなっていました。

という事で、チャウ・シンチー作品は、製作当時の香港人向けの独特の地域性のあるお笑いがそのまま作品の魅力となっているため、

なかなか香港以外の地域に住む人々に、その魅力を全て理解するのも難しく、比較的分かり易かった(少林サッカー)で世界的にブレイクするまで、

香港ではトップスターの作品なのに、日本ではその主演作品のほとんどが紹介されない、という状態が長く続いていました。

そういう流れがありましたので、本作も製作から3~4年ほどかけてようやく日本公開となった作品です。

要するに、【あの人気スターの幻の未公開作、ついに解禁!!】という扱いの作品ですね。

こういうギャグも容赦なく入れていきます。(許可とか大丈夫でしょうか、、)
作品世界とか時代背景をあえて無視するのもチャウ・シンチー時代劇の魅力です

ただ、コメディ作品に関しては香港映画だけでなく、ハリウッド作品でもその笑いの全てを堪能しにくいジャンルではありますので、

ハリウッドで大ヒットしたのに、日本ではDVDスルーというパターンも少なくありませんので、コメディスターの主演作品に関してはアクション絡みでなければ、難しいのかもしれません。

そんな状況で公開された本作ですが、本作の監督は後年、多くのガンアクション作品で大ブレイクする前のジョニー・トーの監督作品となっています。

ジョニー・トー監督は、1980年代にはチョウ・ユンファとのコンビで(過行く時の中で)や、(ゴールデンガイ)などで大ヒットを飛ばし、

1990年代に入ってからは、本作以外にも(熱血弁護士)でチャウ・シンチーとのコンビ作で大ヒットを飛ばす、

など、ビッグスター出演作品で主に活躍していましたが、自身の製作会社を設立以降は、独特の世界観を構築し、銃の世界に生きる男たちを描いた傑作ガンアクションを連発し、

一気にその作家性が世界に認められる存在となりました

本作は、その作家性が開花する直前に製作された作品となります。

そういう時期の作品ですので、ジョニー・トー監督作品ではありますが、この時期はスターの魅力を最大限に引き出す職人監督的な活躍の仕方ですので、

後ほど前面に出される男臭い雰囲気は一切感じられない、いつものチャウ・シンチーの下世話なお笑いが満載の楽しい作品となっています。

今のチャウ・シンチーとジョニー・トーのコンビ策も見てみたですが、個性がぶつかりそうですね。

で、物語は天界で相次ぐ不祥事で、身分を降格されそうになったチャウ・シンチーが、その降格の免除の代わりに、3人の信仰心のない人間の改心を条件にする、

という大筋で、その人間を改心させるために人間界に降りてドタバタを繰り広げる物語になっています。

本作の物語自体は何度も映画化され、2021年にも新作が製作されるほどに有名な物語となっていますので、

皆が知っているお馴染みの物語、という感じで非常にテンポ良く、というかかなり急ぎ足で進んでいきます。

そこに人間3人を改心させる物語を組み込む必要がありますので、かなり速足です。

で、その改心させるための人間が、9回も転生しているのに毎回同じ人生を繰り返してしまう娼婦、悪逆の限りを尽くす極悪人、どうしようもない世捨て人になってしまったホームレス、という非常に個性的な3人となっています。

でその3人を演じているキャストが物凄く豪華で、娼婦をマギー・チャンが、極悪人を監督として有名なカーク・ウォンが、ホームレスを後ほどジョニー・トー映画のブレイクと共にスターとしてブレイクするアンソニー・ウォンが演じています。

それぞれ出番は少しづつではありますが、非常に魅力的に、マギー・チャンは粗野な役柄ながらも、最終的には、それまでの行いを改める道徳観を取り戻し、

マギー・チャン今回は大胆な役

カーク・ウォンはその後ろに存在する闇の存在に操られながらも悪事を繰り返した自身の行いを悔い改め、

監督として有名な(新ポリスストーリー)などのカーク・ウォン

アンソニー・ウォンはひと時ではあるものの、人間としての尊厳を取り戻す、というそれぞれしっかりと感情移入できるキャラクターを好演しています。

アンソニー・ウォンはホームレスから最後は術を懸けられて美男子にモデルチェンジ。

とはいいつつ、カーク・ウォンに関しては、改心するところまでは至っていないのでは?、、とも感じられましたが。

そういう感じで、3人それぞれの改心は進み、後半カーク・ウォンが実は魔界の悪魔的な存在に操られていた、という事が発覚し、

その悪魔的な存在が人間界に攻めてきます。

この辺のラストの展開は、まさかの怪獣特撮映画となっていて、巨大怪獣のような悪魔的な存在と、人間サイズのチャウ・シンチーが特撮セットの中でバトルを繰り広げます。

ここはCGなどがあまりメインとして活用されていなかった時代の物凄くアナログ的な特撮シーンの連続となっていて、

今のクリアな画像で鑑賞するとあまりにはっきりと映るワイヤーや、特撮か?ギャグか?と一瞬迷ってしまうような遠近法を用いた巨大感の演出など、

昔懐かしの味わいのある特撮が満載となっています。

信仰心のない人間を改めさせる物語のラストは怪獣特撮映画になります。
後半は特撮映画になります。(遠近法ですね、、)
踏みつけられると人型に埋まる、という分かり易さ、良いですね。

そのバトルの果てに、勿論めでたしめでたしとなるのですが、最後まで非常にスポーティに駆け足で終幕となります。

ラストのスタッフロールなんかは、まだキャストが演技している最中なのに、流れ出す、という駆け足ぶりです。

おそらく、ミスコンかなにかのパロディをチャウ・チンチーが演じている、というギャグのようなのですが、、、。

その辺も含めて、香港の人でしか理解できない笑いがいっぱい詰まっていそうで、ちょっと歯がゆさが残りますが、

とにかくあのチャウ・シンチー独特のアクのある笑いは十分すぎるほど堪能できる作品となっていますので、

香港映画好きの方など、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。

やっぱり、チャウ・シンチーのこういったコメディ作品がまた観たいですね。

新喜劇王)(詳しくはこちら)も勿論面白かったんですが。

後半の一瞬ですが、アクション監督スタンリー・トンの素晴らしいアクションがあります。(本当に少しだけ、、)
歌姫アニタ・ムイは今回は観音様役
当時名コンビだったン・マンタも大活躍
本気の側のキャスティングでチャーリー・チャンもゲスト的に登場

作品情報

1993年製作 香港製作 時代劇コメディ

監督 ジョニー・トー 制作 フォン・メン・ホア

出演 チャウ・シンチー、ン・マンタ、マギー・チャン、アンソニー・ウォン、アニタ・ムイ、ウォン・ヤッフェイ

団扇には一日に3回だけ術をかける力がある、という設定も良いです
この時期はほとんど時代劇中心でした

その他のジョニー・トー監督・製作作品

監督が長い撮影期間をかけて仲間たちと撮りためた香港の街中を堪能できる犯サスペンス(スリ)はこちら

他人の人格が視覚的に見える特殊能力を持った探偵が迷宮入りの事件に挑む(MAD探偵)はこちら

事故に見せかけて標的を暗殺する殺し屋チームの陥る疑心暗鬼を描いたルイス・クー主演の傑作サスペンス(アクシデント意外)はこちら

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